糸では結ばれていない kn ページ24
高校も卒業し、いよいよ春から社会人となる。
本当は進学したかったけれど、女手一つで育ててきてくれた母に恩返しするため、就職を選んだ。
まだ自分が社会人という実感が湧かないなか、時間だけが過ぎていく。
もっと、高校生活楽しみたかったなぁ。
ぼんやりとそう思いながら料理の材料を買いに外へ出た。
最近は自炊を頑張ろうと思っている。ずっと家に居候は母の負担も増える。
お金を貯めて、一人暮らしを始めた時ように料理が出来なければいけない。
それに、いつか結婚した時に振る舞いたいからね。
��今日は麻婆豆腐を作ろう��、そう小さく呟いて豚ひき肉に手を伸ばした時、ポンポンと肩を叩かれた。
何か落し物でもしたのかな。そう思い振り返れば、幼馴染のコネシマがいた。
「久々やなぁ、A！」
明るく私の名を呼ぶ彼は、やっぱり変わっていなかった。
「久しぶり、シッマ。ちゃんと高校卒業出来た？」
「当たり前やろ！いやしかしA、えらく可愛くなったなぁ…」
「シッマもカッコよくなったね」
そうおだてれば彼は嬉しそうにはにかんだ。
中学までは一緒だったが、高校からは別の道を歩んだ私たち。家は近くだったものの、会話をする事は殆ど無かった。
だがこうして彼と話せているという事は、シッマも落ち着いた時期なんだろうな。
「てか、シッマがスーパーに居るって何か面白いね。なんか買いに来たの？」
「え、あーまぁ、そういう事やな！Aは麻婆豆腐作るんやろ？ええなぁ〜」
「最近料理作るの楽しくてね。レパートリーも増えてきたんだよ？それに結婚した時に旦那さんに振る舞いたいし」
「そーかそーか！そりゃ楽しみやな！んで、いつ籍入れるん？」
「＿＿え？」
突拍子のないその発言に、手が止まった。
「ほら、俺らがまだ小さい頃、約束したやろ？��大きくなったら結婚しよう��って。嘘ついたら針千本飲ます約束もしたし」
陽気に笑う彼と裏腹に、私は背筋に悪寒が走るのを覚えた。
「それは」
「俺、ずっと待ってたんやで？その為に高校も彼女作らないで、進学もやめてお前と同じように就職を選んで。ずっと、お前と結婚しようって」
どんどん距離を縮めてきたシッマは私の左手を掴んで薬指を愛おしそうに撫でた。
「俺とAは、赤い糸で結ばれてるからな」
屈託のない笑顔は果たして本物なのだろうか。
結ばれてるのは糸ではなく＿＿
＿＿＿＿
若干スランプ気味
蟷螂の斧 os→←Der Zweck heiligt die Mittel. gr
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
