視えるのではなく魅える ut ページ18
突然だが、幽霊って信じるだろうか？
最近はヤラセだの本物だの議論すら無くなってしまったが、私は信じている。
元々幼い頃からそういった不思議な体験をしてるからそう思っているだけで、確証はない。
ただ自分の中で��いる��とだけ留めていただけなのだ。
(…あの人)
土砂降りの雨の中、バスに乗車して来た一人の男性。整理券も取らず、無言で乗ってきた。
周囲の人々はその男性に目もくれず、黙々と自分の手元にあるスマホをいじっている。運転手も同様、無言だった。
不思議な事に男性は濡れていなかった。こんな雨なのに、傘も持たずにだ。
男性は不審な動きを見せながら、動き出したバスの中を歩き始めた。空いている椅子になんて、興味は持っていない。
座っている乗客たちの前に来ては、「なぁ」とか「俺の事、見える？」と質問をしていた。
＿＿誰も、その質問に答える者は居なかった。
嗚呼、視てしまった。あれが世に言う��幽霊��って奴なのだろう。
映画とかの影響で白いワンピースに長い黒髪の女とかを想像していたが、至って普通の人間に視える。
ただ何となく、目を合わせてはいけない気がして、私も手元のスマホに目を落とした。
(…移動してる)
数分くらい経って例の男性を思い出し、そっと顔を上げる。男性は不自然に空いている椅子に腰を下ろして外を見ていた。
まだこの世界に未練があるのに、亡くなってしまったのか。男性に何があったのかは知らないが、幽霊に同情を抱いたら憑いてくるみたいな話を聞いたのを思い出した。
何やかんやあって自宅の周辺までバスは来て、私は降車ボタンを押す。バスが止まり、立ち上がる。
男性の前を通ろうとした時に、男性が不意に足を通路に出した。
つい反射的に避けてしまう。普通の人からしては、ここに何も無いのに。避けてしまった。
私が男性が視えていることが、男性にバレてしまった。
学校の鞄を握り締め、早歩きでバスを降りる。
どうしよう。あの人、絶対私が視えてるの分かってる。
チラリと後ろを見れば、やっぱり男性が立っていた。やっぱり濡れていなかった。
意外にも顔は綺麗で、何よりも藍色の瞳が儚げだった。何処か寂しそうにするその男性が、ほっとけなくて。
気づいた時には男性を優しく抱き締めていた。
「……視えるんやね。嬉しいわ」
淡白なその言葉は、魅入られた私には何も感じられなかった。
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
