139 分からない事。 ページ24
side.O
翔くんは昔から頑固で一度決めた事をそう簡単に変える人では無い。けれど常に周りに気を遣っている人でもあるから、そう言う意味では他人の意見を率先して取り入れていく。
そんな翔くんが俺に話があると言い出したのは昨日の事だった。いや、正確には一昨日か。
皆んなも各々過ごしていた。
松潤はお節の準備をしていてキッチンに籠っているからニノが傍に飛んで行って、それを見てた雅紀も一緒にキッチンに行って。
リビングには俺と翔くんだけが残されて。テレビを見てたけど二人っきりになったのなら、わざわざテレビを見る事もないか。
そう思ってテレビを消して横に座っている翔くんを見れば、いつもとは違った表情をした翔くんが居て思わず二度見してしまった。
「ねぇ翔くん、何かあった？」
「何かあったっていうか…智くんに話しておきたい事があってね」
あの三人を気にしてか小さな声で話す翔くんは俺の目を見て"ごめん"と送ってくる。
「いつでも聞くよ…」
「うん…じゃあ、今」
「わかった。ここで良いの？」
何か立ち入った話だとしたら部屋に行った方が良いのではないかと思ったが、翔くんが俺の質問に首を振る事はなかった。
「三月にはね、この家から出ようと思ってる」
「…え？どういう…こと？」
唐突に言い出したその言葉を理解するには寝惚けていた頭をフル回転しても追い付かない。
パニックになり掛けた思考回路を慌てて平常運転に戻して彼の言葉を待つ。
「そのままの意味だよ。皆んなには凄く感謝してる。感謝なんてそんな言葉じゃ足りないくらい。でもだからこそ、もうここに居る必要はないと思って」
「ねぇ…全然分かんない。分かんないよ翔くん」
「ごめん智くん。だから貴方とも別れたい。このままずっと智くんや皆んなに頼りっぱなしで生きて行く訳にはいかないから」
もう何も考えられなかった。翔くんの言葉すら別の世界で発しているように聞こえて。そのまた遠くで雅紀の笑い声が聞こえた。
「俺の事、嫌いになったって事？」
「そうじゃないよ。嫌いになんてなるはずない。大好きだよ！でも…大好きだからこそ別れたいんだ」
そう言い切った翔くんの目にはうっすらと涙が浮かんでいて、それを見ると苦しくなった。
『翔くんは頭が良いからさ凄すぎて俺なんかついていけないよ』
高校時代、テストの話をしていたと時に俺が翔くんに言った言葉。
俺は分かんない。翔くんが何考えてるか分かんないよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 398人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未翔
| 作成日時：2020年3月8日 20時
