ONLY LOVE ５【ARS】 (ページ15)

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side.Kiuchi

『とにかく病院に連れて行くわ。あの子たちの事お願いします』

『了解です』

今は眠っているだけとはいえ、何時間外に居たのかも分からない。それに手紙にも身体は強くないと書いてあったのだから尚更心配だ。

自家用車を出し、助手席にチャイルドシートを装着してそこに翔くんを乗せる。

『すぐ病院に着くからね』

幸い今は眠っているからぐずったりもしないけど、起きたらきっとパニックになるだろうな。母親も居らず、自分がいる場所が病院だと知ったら。

そんな少しの不安を抱きながら大学病院へと車を走らせた。

病院に着くと翔くんはゆっくりと目を開けた。瞬きを繰り返しながらやがて私の姿をしっかりと捉える。

『…ママは？』

『今、少し遠い所にお出かけしてるみたいなの…だから暫く私と一緒だよ。まお、っていうの。まお』

予想通りの言葉に迷うことなく考えていた言葉を返す。

『ま、お…』

『そう、真央先生だよ』

翔くんの肩を擦りながら小さな違和感を覚えた。

それから小児科で一から見てもらったところ、先生は少し険しい顔をしてパソコンに何かを打ち込む。

いつもと違うその光景に急に不安が襲う。

『循環器科に連絡を入れましたので、このままそちらに向かって頂けますか？』

『…循環器科ですか？』

『はい。恐らく翔くんは重度の血行不良ではないかと思うのですが、私も専門分野ではありませんので詳しい事は循環器科で検査してもらって下さい』

『分かりました』

そのまま循環器科を訪れ、そこで出会ったのが加藤先生だった。

『小児科の先生の読み通り重度の血行不良ですね。薬を処方しますし何かあればいつでもいらして下さい』

『あの、完治するという事は…』

『恐らく先天性のものでしょう。その場合は難しいかと。それに翔くんは免疫力が落ちていますから風邪なども重症化しやすいですね』

『そうですか』

ここに翔くんが居なくてよかった。翔くんには検査を終えて再び小児科に戻ってもらっていた。

『私が翔くんの担当になりますので、これからは月に一度こちらに通院するようにして下さい』

『分かりました』

正直、今は翔くんを助ける為には加藤先生に縋るしかなかった。

『この子は櫻井翔くんっていうの。年は5歳だから俊くんよりは1つお兄ちゃんね。皆んな仲良くしてあげてね』

それから園に戻って子供たちに翔くんを紹介した。