5 傘を買う理由。 ページ5
side.O
「智くん、準備出来た？」
「出来てるよ」
早く買い物に行きたいのかそわそわしてる翔くんはいつも着ているグレーのパーカーに白いパンツ。
顔はいいんだけど、ファッションはどっか抜けてんだよな。
まぁそれが翔くんの魅力っちゃぁそうなんだけど。
俺と翔くんが向かうのは近くのスーパー。
買う物は俺達が食べる昼ご飯の食料のみ。
夜ご飯はニノに任せてるから俺達が買わなくても大丈夫なんだけど、
翔くんはさっきからお肉の売り場から離れない。
そんなにハンバーグが食べたいのかと思いつつも、気持ちが分からない訳でもない。
スマホを取り出してニノにメールする。
“翔くんがハンバーグ食べたいって。
今日は体調も良さそうだし、材料は買っておくから作ってやって”
「翔くん、ハンバーグの材料買おっか？」
「ニノ、作ってくれるの？」
それはもう目をキラキラさせて言うもんだから、確信も無いまま、つい頷いちまった。
昼ご飯は俺と翔くんの二人だけだし、うどんにでもするか。
「翔くん、うどんも入れて」
「はーい」
買い物を終えて、スーパーを出ると外は雨が降っていた。
天気予報で降るなんて言ってなかったのにな。
「翔くん、傘買いに戻ろっか」
「でも少し待ったら止むんじゃない？」
空を見上げて少し待とうよ、とにっこり笑う。
俺もこのまま待つという選択肢がなかった訳では無い。
「でも、このままここに居たら身体も冷えちゃうだろ？」
だったら早く帰って家に居る方が賢明だと思った。
俺がそういう事を言うといつでも少し悲しそうな顔をして頷く。
俺だってあまり強くは言えないが、これが翔くんの為だから。
傷付いてしまうかも知れないが、後で辛くなるのは嫌だろうから。
ポケットに入れているスマホが震える。
“ハンバーグね、了解。
体調は？大丈夫そうなの？”
“雨降って来たから急いで帰るけど、何かあったら直ぐ連絡するから”
ニノはずっーと翔くんのこと、昔から気にかけてくれてるし、本当に優しい奴だ。
「翔くん。ニノ、ハンバーグ作ってくれるって」
そんな優しさに翔くんも救われてると思う。
だってその証拠に、今だって暗かった顔が少し明るくなっている。
「やった、」
でも俺はその笑顔に少し不安になる。
こんなに笑顔にさせた事があったのかって。
俺はいつも翔くんに悲しい顔をさせてんじゃないかな、とか。
心の支えになれてんのかなって。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
