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「大野先生、お願いですから俺の話を
聞いてください」
「うるさい！お前の考えていることなんて分かっているんだよ。隙を突いて俺達が保護している住吉美寿々とその息子を攫うつもりだったんだろう？彼女が麻薬の隠し場所を知っていると思ってな」
「そ、そんなこと思ってなんて……」
「お前達の想像通りだよ。たしかに彼女は川奈雄太が姿を消す前にある物をあずかって、それをどこかに隠しているらしい。ただ残念だな、もう彼女は青山第一病院から別の場所に移してあるんだよ」
大野は唇を歪める。
「別の場所……」
櫻井は混乱しながらオウム返しする。
「長野の山奥にある俺の別荘だ。彼女はそこで出産させる。そして、そのあと匿った礼として川奈から預かった物を俺達に渡すことになっている」
「なっ⁈そんなものどうするんですか⁈」
櫻井が目を剥くと、
大野の顔に影のある笑みが浮かんだ。
「そんなの決まっているだろ。
……売るんだよ」
「麻薬を……売る……」
櫻井の半開きの口から、
かすれた声が漏れる。
「ああ、そうだ。裏の社会と関わっていると色々と便利だよ。麻薬を買い取ってくれそうな『お友達』が何人もいるからな」
いま起こっていることが現実だとは
思えなかった。
大野達の常識外れの行動にも、その根っこには常に患者のためという想いがあると信じていた。
それなのに私利私欲のために麻薬を売りさばこうだなんて……。
「悔しいか？自分達が必死に捜してきたものを目の前で奪われて。住吉美寿々がどこにいるか知りたいか？教えてやってもいいぞ。長野県佐久市の……」
大野は挑発的な口調で住吉美寿々を
匿っているという別荘の住所を口にする。
「な、なんで……」
櫻井は弱々しい声でつぶやく。
なんで俺の話を聞いてくれないんだ？
なんで麻薬の売買なんて馬鹿なことを
しようとするんだ？
疑問が次から次に湧き上がり
脳内で飽和する。
「なんで俺がスパイのお前に住吉美寿々の居場所を教えたか疑問なのかな？」
大野はからかうように言うと、
ジャケットの懐に手を入れた。
そこから取り出された物を見て
櫻井は目を剥く。
それは黒く無骨な鉄の塊だった。
リボルバー式の拳銃。
「裏社会に知り合いがいると本当に便利だ。金さえ払えば死体を誰にも気づかれないように処理してもらうことまでできる」
銃口を櫻井に向けた大野は、撃鉄を起こすと
引き金に指をかける。
銃声がバーを熱く震わせた。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
