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『俺の知らない所で
何が起きていたんだよ……』
悲痛なつぶやきを聞いた松本はノートパソコンを閉じると、深いため息を吐いた。
これでようやくこの仕事も一段落ついた。
さっさと家に帰って休みたい。
「上手くいきましたね」
横から声がかかる。
松本は目だけを動かして隣の運転席を見る。
そこでは一人の男が
安堵の表情を浮かべていた。
＿＿＿同僚である櫻井翔が。
「……面倒だった」
松本はぼりぼりと頭を掻く。
「すみません。色々お手数をかけて」
「……別にお前のせいじゃない」
そう、悪いのは大野さんだ。
あの人が細かい演出にこだわったから、こんなに色々と苦労する羽目になったのだ。
「細部までこだわらないと見抜かれるかもしれない」とか何とか言っていたが、間違いなくあの人は楽しんでいた。
鍋島殺害の容疑がかけられた櫻井がバーにやって来たときもそうだ。
櫻井に文章で盗聴されている可能性が高いから何も喋るなと伝え、あとは雅紀にでも声帯模写で演技をさせれば済む話だった。
なのにわざわざ全員で演技をして櫻井を怯えさせたうえ、おもちゃの銃で櫻井を撃つと同時に妨害電波をオンにするという方法をとった。
銃口から飛び出した各国の国旗を頭から浴びて呆けた表情を晒す櫻井に、雅紀が『大成功！』と書かれたプラカードを掲げるのを見ながら、そんな馬鹿げたことに協力してしまったことに落ち込んだのだった。
万年筆の件もだ。
思い出して松本はさらに疲労を覚える。
罠にかかって川奈の遺体を掘り返しに行くであろう後藤田を追跡するだけなら、べつに万年筆に盗聴器とGPS装置を組み込む必要などないのだ。
それなのに大野が「その方が意趣返しとして面白いだろ」と言い出し、松本がわざわざ万年筆に必要な装置を組み込む羽目になった。
しかも、あまり離れたら電波を追えない可能性があるということで、櫻井が運転する車の助手席に乗りながら後藤田の行く先の監視までさせられた。
古手川に随時情報を送るのも松本の役目だった。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
