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いつか遺体を掘り返さなくてはならなくなる可能性を考え、この印を付けていた。
懐中電灯を地面に置くと、後藤田は額の汗を拭う。
この印を捜すために１時間以上森を徘徊していた。
疲労が全身の細胞を冒している。
腕や顔が何か所もヤブ蚊に刺されて、痒みが精神を責め立てる。
しかし、まだ休むわけにはいかなかった。
川奈の遺体を掘り起こし『双子の涙』を手に入れなければ、人生がお終いなのだから。
タイのリゾートでバカンス中のアラブ王族から、ホテルの従業員が盗んだ『双子の涙』が二束三文で裏市場に流れたという噂は聞いていた。
そんな時、タイに麻薬を仕入れにいくと
「捜査の手が追って来ているので『双子の涙』を安値で売り払いたがっている奴がいる。興味はないか？」
と顔なじみの仲介屋に話を持ち掛けられ、すぐに飛びついてしまった。
その仲介屋が提示してきた金額が約３億円だった。
そう簡単に用意できる金額ではなかったが、『双子の涙』を手に入れればその数倍の値段で売ることも可能だった。
実際に日本で、本物だと確認できれば10億以上の値段で買い取ってくれるという相手を見つけてさえいた。
後藤田は必死に金をかき集め、３億の金を用意して『双子の涙』を手に入れた。
あとはいつもの麻薬の密輸でやっているように、『運び屋』の腹に『双子の涙』を仕込み日本に運び入れるだけだった。
その『運び屋』こそ川奈雄太だった。
あの男が変な気を起こさなければ、こんなことにはならなかったのに。
「ちくしょう！」と悪態をつきつつスコップを地面に突き刺した瞬間、鈍い手応えが伝わってきた。
後藤田は目を見開くと、地面に這いつくばり両手で土をよけていく。
指先に滑らかな感触が伝わってくる。
懐中電灯の薄い光の中、それはやけに白く見えた。
川奈雄太の頭蓋骨。
埋めた時は肉がついていたその頭部は、数ヶ月で完全に白骨と化し、眼球を失った虚ろな眼窩が恨めし気に後藤田を見つめていた。
『運び屋』が普通の病院で密輸品を取り出してもらおうとすれば、密輸の共犯者だということがバレるうえ、俺達からの報酬も受け取れなくなる。
だからこそ『運び屋』は俺達の指示通りに動くしかない。
そう考えて『運び屋』の行動を監視していなかった。
まさか、自分の腹をかっさばいて
『双子の涙』を取り出そうとするなんて……
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
