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ゆっくりと裏口の扉のノブに手をかけた。
ノブを回すと扉がゆっくりと開いていく。
鍵がかかっていない？
ここまで人里離れた隠れ家なら、
絶対見つからないと思って
油断しているのだろうか？
田村は眉間にしわを寄せながら
建物の中に入る。
そこはキッチンになっていた。
田村は壁の陰から息を殺して室内の様子を
うかがう。
広いリビングダイニングが見えた。
Ｌ字型のソファーにゆったりとしたワンピー
スを着てメガネをかけた華奢な女と、野球帽
をかぶった少年が座ってテレビを見ていた。
斜め背後から見る形になっているので
二人の顔は見えないが、
女の腹はかなり大きく膨らんでいる。
二人以外に人影は見えなかった。
田村は菊野に向かって小さく頷くと、
一気にキッチンから躍り出た。
女と少年が同時に振り返る。
女は田村達を見てメガネの奥の目を見開くと
かすれた悲鳴を上げて立ち上がろうとした。
しかし、近づいた田村は女の肩を押して
ソファーに座らせる。
「暴れるんじゃねえ、
そのガキをぶっ殺すぞ！」
田村は低い声で脅しつける。
女は恐怖に顔を引きつらせると、
隣に座る少年を抱きしめた。
野球帽をかぶった少年は恐怖で放心状態に
なっているのか、ぴくりとも動かなかった。
帽子のせいでその表情ははっきりしないが、
口元が強ばっているのが見てとれる。
「あ、あなた達……この前の……」
女はがたがたと全身を震わせながら呟く。
今日は化粧が濃くメガネをかけているためか
前回マンションに押し入った時とは少し印象
が変わった気がしたが、その儚げで弱々しい
雰囲気、そして怯える小動物のような態度に
変化はなかった。
「いいから、大人しくしとけ。
子供が大切だろ、そいつも
腹の中にいるガキもな」
田村の言葉に、女は腹を庇うように
体を小さくした。
さて、さっさと聞き出してしまおう。
女を睥睨しながら田村は小さく息を吐く。
「なあ、そんな心配すんなよ。俺の質問に答えてくれればいいんだ。そうすりゃ、俺達はすぐに消えるよ」
田村は一転して猫なで声で言った。
「ほ、本当ですか？約束してくれますか？」
馬鹿が。
田村はマスクの下で唇を歪める。
後藤田の命令で、
『あれ』の在りかを聞き出したあと、
この二人は始末することになっていた。
「ああ、本当だよ。だから教えてくれ。
川奈は『あれ』をどこに隠したのか」
田村が諭すような口調で訊ねると、
女は細かく顔を左右に振った。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
