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あの事件は、数日間トップニュースとして
取り上げられた。マスコミは実名こそ
出さないものの、櫻井を
『殺人医師』として糾弾し続けた。
インターネットや一部の週刊誌には
櫻井の実名と顔写真が掲載されさえした。
しかしその後、都内で起こった
バラバラ殺人事件、
アラブの王族が盗まれた宝石に
多額の懸賞をかけた件、
はたまた世界的な株安など
人々の興味を惹く事件が続いて
世間の関心は次第にそれらに移っていった。
また死亡した男が覚せい剤依存症で、
そこからくる精神症状で何度も自
殺未遂を繰り返していたため、
初期捜査で警察が『事件性なし』と判断し、
遺体が火葬されていたこともあって、
嫌疑不十分で検察は櫻井の不起訴を決めた。
しかしそれまでの間、
櫻井はマスコミに追いかけ回され、
義憤に駆られた一般人から様々ないやがらせを受け続けたのだ。
「それで、本当に当直中に酒を飲んで
患者を死なせたのか？」
大野は直球の質問を投げつけてきた。
「……分かりません」
「分からないというと？」
「あの夜のことはよく覚えていないんです。
前日に深夜まで飲んでいたのは確かです。
ただ当直は夕方からだったので、少し
頭痛はしたけど酒は抜けていたはずです」
「報道によると、患者が来た時、君は
泥酔していたように見えたということだったが」
「……本当に覚えていないんです。あの夜、
腹から血を流した患者を診て緊急手術が
必要だと判断しました。けれどその後のことは、……何も記憶がないんです」
櫻井が俯いて言うと、
大野は隣に座る二宮に一瞥をくれた。
二宮は小さく頷く。
「つまり、本当に自分が当直中に
酔っていたかどうかは分からないが、
なんにしろそのせいで四葉記念病院を
辞めなくてはならなくなったってことだな」
大野の確認に、
櫻井は弱々しく「はい」と答える。
二宮が顎をくいっと反らした。
「週刊誌に本名を載せられたから、
他の病院に就職することも
出来なかったってわけだ。それで、
ここで雇ってもらおうってことだね」
櫻井は黙り込む。
二宮の言うとおりだった。
四葉記念病院を退職してから、
様々なツテを使って
他の病院に就職しようと試みた。
しかし、どの病院も
櫻井を雇うことはなかった。
『殺人医師が再就職した病院』などと
マスコミに取り上げられるリスクを
考えれば当然のことだった。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
