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「違法カジノのオーナーっていうことは
その藤原って奴は暴力団の構成員かな?」

「違えよ。組が直轄しているところなら
まだましなんだ。下手なことしたら組に
まで迷惑がかかるから、そこまで無茶は
しねえ。

藤原はもともと暴走族の頭だった男だよ。
最初はそいつが舎弟達と一緒に
マンションの一室で小さな賭場を開いて
いたんだ。けど、かなり商才ってやつが
あったみたいでな、口コミですぐに客が
増えて、どんどん規模を大きくしていき
やがった。いまじゃあ、かなり大きな
フロアを使って、ラスベガスみたいに
本格的なカジノを開いてるんだよ」

「そんな大々的にやったら、そこのシマを
仕切る暴力団が黙っていないだろ?」

「そこが藤原の上手いところさ。もともと
組が博打場で開いているような繁華街じゃ
なくて、少し都心から離れた所に自分の
カジノを開いているんだ。それに収入の
一部をしっかり上納金として組に払っている
それなら組も文句言うどころか、ケツ持ちを
やってくれるってわけさ」

浅井の説明に大野は大きく頷いた。

「なるほどな。けど、裏とはいえそこまで
しっかり経営しているのに、人を殺すような
無茶なことをするのか?」

「……たしかに藤原は頭は切れるけど、頭の
大事な線もキレちまっているんだよ。族の頭
やっていた頃、抗争のたびに暴れ回って、
何人も殺しかけたって有名だからな」

いまの時代に、本当にそんなことをしている
奴らがいるのか?

櫻井はこめかみを搔く。
櫻井には浅井の話が現実味なく聞こえた。

「普通に賭けを楽しむぶんには、いいカジノ
なんだよ。ディーラーまでいて本格的だし。
けど、もしイカサマでもしようものなら、
見せしめに大変な目に遭うって話だ」

「そのカジノで、川奈雄太はかなり負けた
ってわけか」

大野の言葉に浅井は重々しく頷いた。

「そうなんだよ。もともとあいつ、
ヤミ金とかで借りた金を、あそこに
つぎ込んでいたんだ。けど、あいつ勝負
弱くて、すぐにすっからかんになるんだよ。
しかも、それでやめておけば良いのに
ツケで勝負なんかしてさ、それでデカい借金
を負っちまって……」

「その借金が返せなくて殺されたって
いうわけかい?」

「……それだけじゃねえよ」

浅井は弱々しく首を左右に振る。

「消えちまう直前に雄太が言ってたんだよ。
『デカい勝負をして借金を全部返す。そして
裏の世界から足を洗う』ってな」

「デカい勝負……」

大野はその言葉をオウム返しする。

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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます!ここから更に急展開ですのでお見逃し無く!! (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます! (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開!!ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています! (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未翔 | 作成日時:2021年5月15日 12時

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