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エレベーターを降りた正平は、まさに手を
とられ高級感漂う調度品が置かれた廊下を
歩いて行く。
長い廊下を半分ほど歩いたところで
「ここよ」と足を止めたまさは、手に
していた小さなバッグからカードキーを
取り出し、差し込み口に入れる。
カチャリという音ともにドアが開いた。
ようやく、ようやくこの女を抱ける。
この女を自分のものにできる。
狂おしいほどの情動が正平の体を動かした。
光沢を放つ大理石の廊下の奥に、正平の住む
アパートの部屋の倍はありそうな
ベッドルームが見えた。
あのベッドにまさを押し倒す。
そのことで頭がいっぱいになっている正平は
微笑みながら逃げるようにベッドルームへと
向かうまさを荒い息をつきながら追った。
「……はぁ？」
ベッドルームに入った瞬間、正平は
呆けた声をあげ足を止める。
廊下からは死角になっている位置、
そこに３人の男がいた。
一人は精悍な顔つきの、
やけに体格の良い男だった。
年齢は40前後だろうか。
その顔にはいたずらに成功した小学生の
ような無邪気な笑みが浮かんでいる。
その男の隣には小柄な少年が立っていた。
おそらくは中学生ぐらいだろう。
二人の後ろには細身の男が足を組んで
椅子に腰かけ、本に視線を落としている。
俯いているせいで長い前髪が目元にかかり、
その表情をうかがうことは出来なかった。
「だ、誰だよ、おまえら……？」
半開きの口から言葉が漏れる。
しかし、誰もその問いに答えることは
なかった。
「お疲れさま、相葉さん。相変わらず
こういう時はいつも無駄に女っぽいのが
役に立ちますね」
少年が皮肉っぽくまさに言う。
「あれ、にのちゃんみたいなお子様にも
俺の渾身の女っぽさが伝わってたのなら
良かった。てかいうか、『いつも無駄に』
ってどういうことだよ！」
まさが少年の頭を軽くたたく。
「……無駄でしょうよ。女役のとき以外は」
少年は鼻を鳴らすとそっぽを向いた。
まさは「相変わらず冷たいなあ」と笑う。
「ま、まさ。これ、どういうことだよ?!
それに女役って……」
正平が震える声を絞り出すと、
まさは胸の前で両手を合わせた。
「ごめんねーちょっとあなたに
用事があったんだ」
その軽い口調からは、ついさっきまでの
妖しい雰囲気は完全に消え去っていた。
そして、もはや女の仮面をつけた男だった。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
