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「話というのは、……息子のことです」
「息子さんですか。
たしかご子息はおられないと
聞いていましたが」
大野の言葉に、
小笠原は力なく顔を左右に振る。
「はい、戸籍上はそうなっています。
けれど……」
「隠し子がいる、というわけですか」
大野が言葉を引き継ぐと、
小笠原はかすかに頷いた。
「20数年前、……私には愛人がいました。
よく通っていたクラブのホステスを
していた女性でした。私はマンションを
用意するなど、彼女の面倒を見ていました」
小笠原は遠い目をしながら語り始める。
「彼女は妊娠しました。
私は……堕ろすように言いましたが、
彼女が産むと言い張りました」
小笠原の表情がぐにゃりと歪む。
「……彼女が私の財産を狙っていると
思ったんです。私に子供を認知させ、
最終的には遺産を相続させようと
していると」
「……それで、どうなりました」
大野が先をうながす。
「彼女は認知なんてしなくていいから
産ませてくれと、私に懇願しました。
けれど、私は信じられませんでした。
堕ろすように必死に説得……いや、
脅迫じみたことまで口にしました。
そうして、ようやく彼女は堕ろすことに
同意しました」
「けれど、実際には
そうしなかったんですね」
「ええ、彼女は姿を消しました。
私には決して迷惑をかけない。
その代わりに捜さないでくれっていう
置き手紙を残して。けれど、
私はずっと不安だった。
彼女が産んだ子供が急に現れて、
財産をよこせと言ってくることが」
「お子さんは現れたんですか？」
「いえ、現れませんでした。
……全部私の被害妄想だったんです。
彼女はただ、自分の子供を
守りたかっただけだった」
小笠原は痛々しいまでの自虐を
込めてつぶやいた。
「なるほど、あなたは自分の子供が
急に現れるのをずっと恐れていた。
けれど、ご自分に残された時間が少ない
ことに気付いた時、急にその親子を
捨てたことに罪悪感を感じて、
二人がどうしているか調べだした。
そういうことですね」
大野が言うと、
小笠原は目を剥いた。
「な、なんでそのことを……」
「あなたはさっき、ご自分の『息子』
について話があると仰いました。つまり
お子さんが男性だと知っていた。あなたが
二人について調べたということです」
「……そのとおりです」
大野の明快な説明に、
小笠原は鼻の付け根にしわを寄せる。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
