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カウンター席から立ち上がりながら、
雅紀が思わせぶりに言う。
奈美は「はい、『あれ』です」と
屈託なく答えた。
「あの……『あれ』ってなんですか？」
不吉なものを感じた櫻井が訊ねると、
雅紀は妖しい笑みを浮かべた。
「冒険のはじまりってことだよ」
・
「すごい車ですね……」
座席に腰掛けながら、櫻井は
落ち着きなく広い車内を観察する。
15分ほど前、奈美に呼ばれた櫻井は、
雅紀とともにエレベーターで
地下2階へと向かった。
クリニックが入るビルの地下2階は、
広い駐車場になっていて、
そこから直接、患者を搬送できるように
なっていた。
駐車場に到着すると、すでに
大野、二宮、松本が待ち構えていた。
やってきた櫻井達に向かって大野は
「とりあえず、説明は車の中でな」と、
すぐわきに停めてあった巨大な
キャンピングカーを指したのだった。
「ここまで改造するの、
かなり大変だったんだよ」
大野は自慢げに軽く胸をそらす。
キャンピングカーの居住区があるべき
後部スペースは、まるで
手術室のようだった。
壁には血圧計、心電図、
血中酸素飽和度計、酸素ボンベ
などが備え付けられ、
棚には手術用具や点滴バッグなど、
様々な医療機器が収納されている。
さらに壁に沿って向かい合うように
配置された座席の間にはベッドが
置かれ、その頭側にはなんと小型の
麻酔器すら置かれていた。
「もしかして、ここで
手術をした事とかあるんですか？」
まさかと思いつつ櫻井が訊ねると、
対面の席に座る大野は悪戯っぽい
笑みを浮かべた。
「ああ、何回かね。そういえば、
この中で帝王切開をした事もあったっけ。
あの時は大変だったよな」
楽しげに大野が言うと、その両隣に
座る相葉と二宮が同時に顔をしかめた。
櫻井の隣に座る松本も
口元をへの字にしている。
どうやら、スタッフ達にとっては
あまり思い出したくない記憶らしい。
「奈美ちゃん、安全運転で頼むよ」
二宮がなぜか慌てて声をあげる。
「分かってます」
運転席の方から、奈美の
少々不満げな声が返ってきた。
そちらに視線を向けると、
頬をわずかに膨らませた奈美の顔が
バックミラーに映っていた。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
