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二宮の他人の思考を読む能力の高さと、
松本のあらゆる分野を網羅する知識量にも
ことあるたびに圧倒されている。
それらは精神科医・内科医にとって
必要な能力だ。
二人が医師として極めて優秀なのは
容易に想像できた。
雅紀は中指で櫻井の額をはじく。
櫻井の口から「いてっ」と声が漏れた。
「下らないことで悩んでいるんじゃないの」
「下らないことって……」
「ここに就職した時点で、
翔ちゃんはうちのクリニックの仲間、
つまりは家族になったってこと。
家族は自分がここにいていいかどうかなんて
悩まなくていいの」
「家族……」
櫻井はその言葉をオウム返しする。
「このクリニックのスタッフはね、
みんな行き場所がなくなった人間なの」
雅紀はにっこりと、
少年のような笑みを浮かべた。
「行き場所がない？
あんなに優秀なのにですか？」
「優秀だからって、周りに溶け込めるかは
全然別問題でしょ。というか、
突き抜けている人間はそのせいで
周囲から疎まれることが多いのよ。
にのちゃんなんてその典型だよ」
「二宮さん？」
「そう、にのちゃんは微かな表情の変化、
視線の置き所の変化、口調の変化とかから
他人が考えていることを本能的に察知する
ことができる。ほとんど妖怪レベルでね。
その能力は精神科医にとっては大きな
武器になるけれど、その能力のせいで、
周囲の人間はにのちゃんから距離を
取るようになる。分かるでしょ？」
「自分の頭の中を読まれるっていうのは、
気持ちのいいことじゃないですもんね」
櫻井の回答に、
雅紀は満足げに頷いた。
「そう、そして悪いことに、自分が
周囲から疎まれているのを、にのちゃんは
普通の人間よりも何十倍も鋭敏に感じ
取れてしまう。そんなの針のむしろでしょ。
だから、にのちゃんは普通の病院では
働けなくなったんだ。そんなにのちゃんを
拾ったのが、大ちゃんだったの。
大ちゃんって子供で裏表がないからね。
にのちゃんも気を許すことができたって訳」
「大野先生が子供……？」
櫻井は眉をひそめる。
「ああ、翔ちゃんはまだ大ちゃんの本性を
見ていないからね。外見はダンディだし、
手術の腕は超一流だけど、中身は
小学生みたいなもの。このクリニックを
作ったのだって刺激が欲しかったからだし」
「それって、世間から隠れて治療して、
刺激を得るってことですか？」
いまいち意味が分からず櫻井が訊ねると、
雅紀は含みのある笑みを浮かべた。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
