さとみくんの彼女事情

4話 ページ5

さとみside









『さとみくん...？』





そう呟いた彼女




ここはうんと言うべきか、さとみという人物を知らない体でいくべきか...



でも俺は無意識に






さ「はい、さとみです」






と言っていた



言ったあとに気づいた、やってしまったと



いやいや、俺何してんだよ



俺今マスクもしてねーし、




彼女は案の定驚いた顔をしていた








『え、ほんとに？ほんとにあのさとみくんですか？』






彼女の目が微かに潤んできてるのがわかった




そんなに俺に会えて嬉しいのかな？




もしかして すとぷりすなー のなかの俺推し？







さ「あーーはい、すとぷりのさとみです笑」








すとぷりという言葉を出すと彼女はついに泣き出してしまった



多分、本物だと信じたんだろう



周りからはおっさんが女の子を泣かせてるって見えるんだろな



すっごい変な目で見られてる








『...ファンです』







彼女はそう言いながら溢れる涙を一生懸命止めようとして、カバンをこっちに向けてきた





カバンをみると、そこにはすとぷりの缶バッチやアクアキーホルダーなどがついていて、俺のもあれば莉犬のもついていた









さ「すごいね、ありがとね」








と、俺は女の子の頭を撫でた



いや俺は変態かよ



普段こんなことしねーじゃん笑



なにしてんだろ俺









『ずっとずっと大好きです、これからも応援してます。』








そう言われた真っ直ぐな瞳に俺はこの時からもう君に恋してたのかもしれない









そして、電車が開いた




きっと彼女達の降りる駅だ





彼女は最後までずっと俺にお辞儀をして『ありがとうございます、頑張って』を繰り返していた





俺は手を振って最後まで彼女を見ていた







それが俺とAの最初の出会いだった

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