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「君たちが噂の旅人だね？」
「噂だなんて、大袈裟ですよ。」
門番に事情を説明し、先程捕まえた男を差し出したところ、王が直々に礼を申したいとのことだった。
そして今に至る。
「私はこの国の国王、ロディスタだ。」
「ドイルと申します。こっちは妹のロズです。」
ロズは僕の後ろからひょこりと顔を出し、またすぐに隠れた。
何年も旅をしているが、国王に呼ばれるなんて初めてなものだから、緊張しているのだろう。
「改めて礼を言いたい。ありがとう。」
「いえ、妹に声をかけたのがたまたまそいつらだっただけで…私は何もしていませんよ。」
「そう謙遜しなくてもよい。君たちの噂は風に乗って流れてくるからね。色々な国で、沢山の問題を解決しているそうじゃないか。」
国王はそう言って僕達を見つめる。
こんな所まで噂が出回ってるなんて。
と思うが、ロズも見た目が目立つから仕方の無いことなのかもしれない。
「えぇ、まあ。ほぼ全て通りがかっただけなんですけどね。」
「…君は、強運の持ち主のようだ。」
あとどれ程この街に居るんだい？と聞かれ、少し悩んだ。
ここは豊富な資源が有名の、貿易中心国。
ちょうど食料なども底をついてきそうだし、旅支度を改めなければならないだろう。
「とりあえず一週間ほどで考えておりますが。」
「そうか。では、その分の宿はこちらで手配しよう。」
目を見開いた僕に、「私が好きでやるのだから、好きにやらせてくれ。」と国王は笑った。
その言葉に甘えることにして、僕達は用意された宿へ向かった。
「海沿いの街は、やっぱり綺麗だな。」
「お兄ちゃん。」
窓から沈む夕陽を眺めていると、ロズがくいくいと袖を引っ張ってきた。
「どうした？」
「おなか、すいた。」
「…そうだな。」
あどけない顔でそう言うものだから、思わず笑ってしまった。
ぐううと腹を鳴らせた妹の手を引き、夕食を取りに行った。
．
続く
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作者名：ヒナセ | 作成日時：2018年2月18日 21時
