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「お、お前その仮面どうしたんだよっ。駄目だ堪えきれねえ」
「やめ、辞めてやれって。似合ってまちゅよ、グレイくーん」
「うっせ、子供扱いすんな! 貰ったんだよ」
俺が帰ってくるやいなや三人が揃って笑い転げているのは俺が甚平にひょっとこのお面というなんとも幼い服装をしているからだ。
りんご飴を買っている時に隣で商売してたおばちゃんがあげるよと言って顔の横に付けてくれた。
断りずらいし、焼きそばとたこ焼き、りんご飴を持ってたせいで外そうにも外せない。
「ワンチャン俺らの中で一人だけ中学生に見られるかもな」
因みに他の三人は着物で加賀さんに至ってはいつもの帽子まで被っている。
似合っているのが恨めしい。
「困難だったらデスソースかけてくりゃ良かった……」
「ごめんってグレイ。ほら、ビールだ」
どうやら買い出し中に酒を俺の分まで買っていたらしい。
お礼を言って有難く受けとった。
何気なく時計を見ると目的の時間まで十五分を切っている。
「早いけどいいだろ」
「何の話だよ」
「秘密、まあ着いてきてくれ」
後方からグレイの当たりが強くないだと? 他などと煽られた。
下駄の音が響き、提灯の橙色の柔らかい光が遊歩道を照らす。
屋台からは活気に溢れた声がおいでおいでと呼び掛けてくる。
独特の雰囲気が取り巻いている。
「目的地はどこなんだ? 」
「もうすぐですよ、加賀さん」
「と言っても前方森なんだが……」
サトリ野郎の言う通りだ。
目の前は森。低木と背高の木々が生い茂っている。ほとんど消えかかっている道はここの来客がもうほとんど無いことを意味していた。
「突き進むぞ。蚊に食われたら、ざまあということで」
俺としても虫除けスプレーの一本でも用意しておくんだったと後悔した。
「こんな場所進むのは気が引けるが……」
「お前の言うこと聞くのも気が引けるが……」
「しょうがねえな」
「お前ら息ピッタリかよ。今の職場やめてトリオで活動でもしてろ」
などと雑談を酌み交わして歩く事三分、ついに目的地に到着。
と言っても目の前は木々が生い茂って先の様子を見ることは出来ない。
三人の頭にはてなが浮かんでいるのがわかった。
「ま、騙されたと思って飛び込んで見ろよ」
「気でも狂ったか? 」
「分かんねーけど行ってみるぜ」
加賀さんが元気に飛び込んで行ったのを見ると残った二人は顔を見合わせて意を決したようだ。
ゆっくりと突き進んで行った二人を後ろから見届けていた。
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