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未だに突破できない人混みの中にポツリと四人。男だらけでむさ苦しいったらありゃしない。
「しっかし人多いな、お陰ではぐれちまったな」
「くそっ、サトリ野郎と犬さえ居なければ良かったのに……なんだよサトリなんて妖怪なんだから神社で消滅しとけよ。犬も犬らしく狛犬と戯れてろよ……」
「はあ？ 俺は犬でも無ければ狛犬と戯れる歳でもない」
「右に同じく。まあ政士の話については酒に呑まれればなりそうだがな」
そう言った途端手刀が頭上目掛けて飛んできた。
人口密度も相まってか避ける事もままならず直撃。大人二人が痛みに悶える結果になってしまった。
「痛てーよ！ 何しやがる」
「うん、お前が原因だからな」
一頻り頭をいたわった後、犬がなにかを思い出したように勢い良くサトリ野郎の方に振り向いた。
と思ったら次は脚をぺちぺちと叩き始めた。義足の方だ。
「結構歩き回ったけど大丈夫かー？ 」
「へーきへーきと言いたいとこだが流石に人に疲れたな……」
「ま、休んでいいんじゃねえか？ 祭りはまだまだこれからだし」
ここでばてさせてたら俺が責任を負うことになる。そんなのお断りだ。
三人はベンチに座って思い思いに雑談をしている。
対する俺はスマホでメッセージの確認。もう少し時間潰しててと連絡が入っていた。
「……しょうがねえ」
「あ、俺りんご飴食いたい」
ふと加賀が零した言葉をグレイは聞き逃さなかった。
犬の如く主人の前に駆け抜けて躍り出る。
──さてはて犬はどちらなんだか。
「俺買って来ますよ！ 」
「え、まじ？ じゃあお言葉に甘えておねがいな」
太陽並みの笑顔を向けてくれた加賀さんは天使にも見える。
しかし俺の言葉を聞いて外野の二人も便乗しだした。不測の事態だ。
「じゃあ俺焼きそば。ヴァイスは？ 」
「俺はたこ焼きでいい」
「誰がお前らの願い聞き入れるか。あ、これ以上はぐれるのは御免だからそこに座っててくださいよ」
本当は命名口調で一蹴りするところだが先輩が居るので辞めておくことにしよう。
「グチグチしながらも一番近いたこ焼きから買いに行こうとしてるグレイ先輩ちーす」
「ゴチになりマース」
──俺だってホントは加賀さん以外の物買いたくねぇし！
怒りでワナワナ震える右手を抑えて品々を買い集めに行く。
たこ焼きにセルフのデスソースあった時は本気で悩んだ。
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