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「ロ、ロイ……何でここに」
可笑しい、お前は昇華隊に捕まってる筈だろ？ と言えなかった。いや、正しくはロイに手で口を押さえつけられていた。という方が正しい。
鉄の匂いが鼻をかすめる。
「君は僕を置いて逃げた。違う？ 」
首を傾げて問いかける彼に対して頷くしか無かった。
「僕をいいように利用していたんだね」
その言葉を聞いた瞬間手を振り払った。
「違う！ お前は俺の……俺の──お前ロイじゃねえ」
言い終わるか終わらないかで細く白い腕が首めがけて飛んできた。
あまりの速さに払うことも出来ず首は大人並の力で締め付けられる。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」
血を目から垂れ流して恨みをぶつけてきたそいつはとてもロイとは呼べない怪物か何かだ。苦しさで弁解する暇も与えられない。「違う」と一言否定したいだけなのに。
死ねよと反響した声が聞こえた後、後ろから見事に鋭器で胸をつかれた。熱さと痛みが心臓と肺を襲って苦しい。全身の毛が逆だったかのようだ。
鋭器をゆっくりと抜かれると体がどさりと屋根に打ち付けられた。いつの間にかロイも姿を消している。
どうやら人は攻撃されるとかえって冷静に物事を見れるようになるらしい。
刺したのは誰だったのだろう。ロイなのかそれとも──？
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