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来た道を引き返そうと歩き始める。行きと変わったところは大量の荷物(八割Aの物)くらいだろう。
『あのおしろ…?』
Aが不思議そうに指さした先には、中央にそびえ立った大きな城。…無論Aたちが住んでいる場所だ。外観を見るのが初めてだった為、本当に自分がいた所なのかと聞きたいのだろう。
ht「あれが俺らが住んでる所だよ。ちょうどこの国の中央にあるんだ。」
os「街もあの城に沿って広がってるめう〜。城に近ければ近いほど栄えてるってイメージ、?」
ht「そうそう。逆に遠いと農村だったりとか…その辺も開拓してかなきゃね。」
どうやらこの国は相当広いようだ。改めてAは知らないところに来てしまったのだと理解する。そして話題の中心であった城には、あっという間に辿り着いたのであった……
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『…ふぅ……』
自分の部屋となったベットに腰を下ろし、一息つくA。唯一変わったことと言えば、シンプルだった部屋が洋服によって賑やかになったことくらいだろう。何日かければ全服を着尽くせるのか…検討もつかなかった。
ベット近くの机に移動した。これもまたひとらんらんとオスマンに頼んで運んでもらった物だった。まだ少し高い椅子によじ登り、新品の日記帳と羽根ペンを準備する。
今日からにっきをつけよう。右も左も分からないAによる、ちょっとした心の拠り所であった。
きょうは、まんちゃんにこのにっきをかってもらいました。
うれしいけど、もらってよかったのかな…わるいこじゃないかな?
……きょうからにっきをかきます。かえってきたとき、ぱぱとままにみせるんだ!
ペンの手が止まる。今日はもう書けないなと思いノートを閉じた。最初のにっきが書き記されたのである。
すっかり暗くなっている。夕食は特別と言って街で買ったものを食べたし、お風呂も入った。後は寝るだけ。
『あしたは、かえれる…かなぁ……』
どんな事があろうとも、Aの願いはただ一つ。
家に帰りたい。
ただそれだけである。

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作者名:ふぅ | 作成日時:2025年1月20日 13時