17話 重圧 ページ19
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犬彦達のもとへ向かう。
その間にも行き場のない焦りが、私の身体中を巡っていた。
なんだかそれが気持ち悪くて、私はそれを振り払うように、足を前へ前へと進めた。
(いや、ダメだ。こんな姿を見られる訳にはいかない)
ここは敵地なのだ。弱味を見せるなんてのは、悪手にも程がある。
(一旦落ち着かなければ。)
心臓が冷たい。
私はいったい、何を恐れている?
(……ああ、そうか。)
私は、失敗をするのが怖いのだ。
しくじれば命は無い。
まだ私だけならいい。
だがそれは、同時に兄の死を意味するのだ。
恐ろしかった。
自分の手に、大事な人の命が掛かっているという重圧。
それが恐ろしくて仕方なかった。
胡蝶しのぶが持っていた気持ち。
選択肢がなく、自分の全てを賭けて戦い、そしてその結末を知っている。
私はどうしてか、それを自分に重ねてしまった。
なぜ私は胡蝶しのぶを自分に重ねたのか…
その理由は考えたく無い。
ソレに気づいてしまう事はもっと恐ろしいから。
(考えたく無い…)
その時、私は思い出した。
兄さんが、私に言ってくれた事を。
『何が正しいかわからねぇなら俺だけを信じろ。
俺は兄貴だ!
兄は妹の道標だ!
俺はいつでも正しい!!』
ボロボロになった服をきて、寒い小屋の中にいた。
目敏く、醜悪で悪意にまみれたハイエナのような人間達が恐ろしかった。
寒くてひもじくて、不安で怖くて悲しくて、1人膝を抱えて泣いていた。
そんな私に、兄さんが言ってくれた言葉だった。
(バカみたい。)
何を迷うことがあろうか。
私のやる事は最初から決まっている。
それしか道がないのなら、全てを賭けてやるしかない。
私はこの任務を成功させる。
それしかないんだ。
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リートにゃむだ(プロフ) - 叶乃さん» ありがとうございます!!嬉しいです!めっちゃやる気出ました!これからも是非見てくださると嬉しいです!♪ (2023年2月9日 14時) (レス) id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
叶乃(プロフ) - 初コメ失礼します!作品とても面白かったです!内通者って言う設定がとても面白いです…!これからもが頑張ってください! (2023年2月8日 23時) (レス) @page21 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - ぺぽんさん» ありがとうございます…!凄く嬉しいです!!文才がない私が答えるのも烏滸がましいですが、助詞をなるべく使わない、空白と漢字を使いまくり文章をなるべく短くする。ってことくらいです。読みやすいと言われたのは初めてでテンション上がってしまいました笑。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page14 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - こんにちは、物語楽しく読ませてもらっています! 読みやすく書かれているのに主人公の心情も分かりやすいので続きが楽しみです! 私も小説を書いているのですが、文章がごちゃごちゃして読みづらく…にゃむださんは書くときに、何か気をつけていることはありますか? (2023年2月7日 18時) (レス) @page13 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - 気づきませんでした。報告感謝です! (2023年2月6日 19時) (レス) @page7 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リートにゃむだ | 作成日時:2023年2月6日 18時