関係 ページ18
昼飯を食べ少し経った頃、
Aさんとスーパーに出向いた。
『何食べたいですか？』
カートを引いた彼女が俺に問う。
久しぶりの誰かの手料理。
どうせなら家庭的な料理が食べたいと思った。
「あー肉じゃが食いてぇ」
そう言うと、
彼女は迷うことなく材料をカゴの中に入れていく。
じゃがいもや人参、糸こんにゃく。
どんどんカゴは埋まっていった。
次の売り場に向かおうと並んで歩く。
すると突然、
「ちょっとそこのお二人」
と女性に声をかけられた。
俺と彼女が同時に振り向くと、
そこにはウインナーを焼くスーパーのスタッフの姿があった。
「試食していかない？」
ニコニコと俺たち二人に話しかけてくる。
断る理由もなくて、
俺たちは試食を一つ貰うことにした。
「貴方たちもしかして新婚さん？」
不意に会話を振られ、彼女と顔を見合わせる。
俺たち二人の関係＿＿＿
改めて考えると言葉で表すには難しい。
傍から見ればカップル。
しかし、
俺たちの関係は友達以下のように思う。
俺が答えを探していると、
『はい。そうなんです』
と彼女は笑顔で答えていた。
その笑顔は明らかに作り笑顔だったけど。
その発言に驚いて
目を見開きながら彼女を見ると、
話を合わせろ
とでも言いたげな目で俺を見てくる。
そこで
彼女は面倒事を避けるために
嘘をついたのだと気づいた。
「最近結婚したんですよ」
俺も彼女の作戦に乗ることにした。
結婚とは程遠い関係だけどな
と内心思いながらも。
「あら〜いいわねぇ」
相変わらずニコニコしながら
半ば冷やかすように話す店員とは裏腹に
居心地の悪かった俺たちは
そそくさとその場を去った。
その後も買い物は続いたが
なんとなく気まずい空気は続いていた。
結局、
会話は帰宅までほぼなかった。
強いて言うなら、
大量の食料が詰まった袋を
一人で運ぼうとする彼女に
「俺が持つから」
『これぐらい持てます』
「いいって」
と言いながら、
荷物を半ば強引に奪った時の短い会話のみ。
彼女と親密な関係になりたい訳ではなかったが
やはり気まずい空気というものは寂しい。
それでも俺に
この空気を壊す打開策は出てこなくて＿＿＿
帰宅後、
俺はすぐに自室に篭もり
気を紛らわすかのように実況の録音を始めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【作者余談】
ちっちゃい頃、試食大好きでした。
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ひばり(プロフ) - emiさん» 前作に引き続き読んでいただきありがとうございます〜！！すごく嬉しいです……！これからも応援よろしくお願いします！ (2020年5月29日 7時) (
レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 待ってました！！(誰) 前作も見ていました！ひばりさんの作品大好きなんです！！体に無理がない頻度で、更新頑張ってください！ (2020年5月29日 5時) (レス) id: ec0b5da59b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひばり | 作成日時：2020年5月28日 7時
