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僕はなんとなく、手を振った。


「じゃあね」

『じゃあね。ありがとう』


Aが背を向けた。

そして、ゆっくりと透けていく。
輪郭も分からなくなった頃、振り返って言った。


『本当はね、私、20歳じゃないよ!16!』


Aはベッ、と舌を出して消えていった。


「ばか。大人ぶっちゃって」


思わず呟くと、僕の手が握られた。


『ねぇ、私にはキスないの?』


えっ!?
僕は顔を真っ赤にした。

ちょっと悲しそうなその表情、ずるいよ。


「あっちのAと同じくらい、君のことが好きだから」


僕は安心させるように言ったけど、見逃してくれない。


『誤魔化さないでよ。私の事好きならキスして』


拗ねたように口を尖らした。

僕は1歩近づく。
ええい、もう吹っ切れろ!!

僕はAの目元を左手で隠し、右手で顎を上に向けさせた。そしてそのままキスをした。


僕はすぐに離れると、顔を隠した。赤くなってる気がしたから。


『……んふふ』


満足そうなA。


『ありがとう。じゃあ、帰ろ』


僕は頷いて、Aの手を取った。


『結構遠いね、あの光』

「遠いけど、貴重な体験だからそんなに嫌じゃないや」

『私は、るぅとさまと一緒に居られて幸せです』


僕たちは顔を見合せて笑った。


「ねぇ、やっぱり僕を呼び捨てにするの、嫌?」

『えっ?』

「だってなんか…表情的に?」

『よくわかったね!私、実は君付けがいいの』

「じゃあ、るぅとくんって呼んでよ」

『もちろんっ!』


満面の笑みが可愛くって、僕はまたキスをした。

Aはぽかーんとして足を止めた。

すると僕の背後から、「不意打ちずる…」と声が聞こえた。

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赤い果実推し(プロフ) - ましろさん» えへへ〜!そう言って貰えて嬉しいです!そろそろ完結します😢 (5月19日 18時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - うわわ.ᐟ‪久しぶりの更新ありがとうございます😭✨このシリーズ、本当に大好きです… (5月19日 18時) (レス) id: d95368a5b3 (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - ちゃっかり宣伝。 (5月19日 18時) (レス) @page13 id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - 叶乃さん» えっへへぇ〜!妄想だけで幸せになれるって幸せだよね(?)占ツク最 & 高 (2023年3月20日 19時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
叶乃(プロフ) - かじつちゃーん!久しぶり!真っ赤な顔して話してる、るぅちゃんと夢主ちゃん…可愛い! (2023年3月20日 18時) (レス) @page6 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤い果実推し | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/stprlo/  
作成日時:2023年1月19日 19時

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