48話。 ページ48
Aside
｢なんだお前……お前もこいつの仲間か！？｣
｢まあまあ、落ち着きなって｣
杉元さんは、殴りかかってきた男を返り討ちにすると、ふう、と一息ついた。
｢こいつは犯人じゃない。ただのドジマタギだ。本当の犯人は、姉畑支遁という男なんだ。そいつを絶対に捕まえてくる｣
｢3日やる。3日で連れてこい。それまではこの男は預かっておく｣
交渉成立したようで、杉元さんとアシリパさんは姉畑支遁という男を探しに行くことになった。
｢尾形、A。もしも私たちが3日で帰ってこれなかったら、2人が谷垣を守ってくれ｣
｢Aさん、頼むよ。お願いだ｣
杉元さんの手が、私の手をぎゅっと握る。結構な力で、その分だけ本当に心から頼んでいることがわかった。
『……私…私は決めれません、…尾形上等兵に聞いてください……』
尾形上等兵はチラッと谷垣さんのいる小熊の檻を見ると、また視線を戻した。
｢あの小熊ちゃんを助けて俺たちになんの得がある？アイツは鶴見中尉の命令で俺たちを追ってきた可能性が高い。山で戦友3人を簡単に殺すような男だ｣
｢アイツらを殺したのはヒグマだ。俺が見ていたんだから間違いない。それに、アシリパさんの言うこと聞かないと嫌われて脳みそ貰えなくなるぜ｣
尾形上等兵は笑ってアシリパさんを見下ろしたが、彼女は口をきゅっと結んだまま、緊張したように彼を見上げていた。
｢言っとくが……俺たちの助ける方法は選択肢が少ないぞ。｣
そう言いながら、尾形上等兵はアイヌの彼らを見て笑った。
そして、2人はそんな尾形上等兵の言葉に焦りを感じながら出かけて行った。
｢A｣
『なんでしょう』
｢さっき杉元に手を握られた時、ちょっと耳が赤くなってたぞ。お前、ああいうのがタイプなのか？｣
『なっ……！あなたわかっててそういうこと言ってるでしょう！？』
｢どうだかな、女は目移りしやすいから｣
その言葉にカチンと来て、思い切り彼の頭を引き寄せる。鼻と鼻がくっつきそうなくらいの距離だった。
『…アンタを好きになって4年経ってるんです。今まで１回でもアンタから離れたことないです。一生を捧げるって決めたんですからね、逃げても無駄ですから』
睨みながらそう言うと、彼は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐににやりと笑った。
｢やっぱお前、すげえ可愛いな｣
彼はそう言って私の鼻先を噛んだ。
『なっ、な……』
｢はは、顔真っ赤。｣
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名無し(プロフ) - 最高です！ (2021年5月2日 17時) (
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作者名：4番くん | 作成日時：2021年4月18日 8時
