【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ23)

今日:19 hit、昨日:18 hit、合計:65,295 hit

23話。ページ23

杉元side

彼女は寝ている尾形をちらっと見て、愛おしそうにため息をついた。

『...あなたにとっての、アシㇼパさんみたいなものです。私の中の尾形上等兵は。私は彼に救われたんです。聞いてもらっても良いですか、なんだかあなたになら話したくなってしまった』

｢俺で良かったら聞くよ｣

そう言うと、彼女は優しく微笑んで話し始めた。可愛らしい顔の奥にある影。俺と一緒だ。彼女は俺だ。

『...私、父を殺したんです』

｢...うん。｣

『父はあまり働く人ではありませんでした。母は良い家の出身でしたが、父と駆け落ちしたそうです。けれど働かない父のために稼がなければならなく、体を売って過ごしていたんです。』

『父は賭博や酒など、毒となるものは全てやっていましたので、母の稼ぎも全て父の戯れ事に使われていき、とうとう母は、客からの感染病で死にました。それでも父は酒をやめませんでしたし、働きませんでした。そうなると、次は私です。私は売られることになりました。』

ここまで話し、彼女は次の言葉を探すように地面を見た。そして、またすぐ話し始めた。

『悪いことをしていないのに縄に繋がれるのは奇妙な感覚でした。遊郭の店主に受け渡された時、何やら急に騒がしくなりました。第七師団が、違法にできた遊郭の取り締まりにしてたんです。私の売られた店は違法だったらしく、それがバレた店主や遊女は次々に撃たれてゆきました。』