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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈9年前
「叶多ぁ……何か食えよ。死んじまうぞ」
暁の呼ぶ声がするが、無視して手を動かした。
「……それ、ホントに動くのか？」
『もうすぐ分かる』
プログラミングを終え、Enterキーを押す。立ち上がって鉄の塊に触れた。
《回路確認中》
「喋った！？」
《センサー正常。カメラ正常。音声確認は正常ですか？》
『ちゃんと聞こえてるよ。アスター』
「アスター……？」
《アスター、自立思考AIの呼び名です。マスターにより贈られた名前です》
『AI。これがあれば私達にだって生きていける。』
私が言うと、暁は目を輝かせて叫んだ。
「すげぇよ叶多！お前天才だ！！」
『……もっと改良して、世界最強のAIにするの』
子供絵空事にしては、私としては現実味のある話だった。アジトにあった物の寄せ集めでも、知識と根気とセンスがあれば8歳にだって機械は造れる。
『暁、新しいファミリーを作ろう』
アスターに話しかけては興奮している暁に、本題を持ち掛けた。笑顔で振り向いた彼は分かっていない様子だったので、もう一度言う。
「え……新しい、やつ……？」
『私がボスで、暁は私のバディ。もう1人の仲間はアスター』
アスター、ラテン語で星を意味する。どんな時でも道を失わないように。私達2人の道標となる仲間。
『生きて、生きて、最後にみんなにただいまって言える人間になる』
「！……そう、だな。やろうぜ！名前は？つか俺らのコードネームも決めようぜ！カッコイイの！」
『名前は……
不死鳥、Phoenix。絶対死なないっていう意味を込めて』
「不死鳥……！カッケー！」
『コードネームは……』
ふとテーブルの上のトランプに目がついた。それはどうやら暁も同じようで。
「俺は王の相棒のQUEEN。叶多は戦いの前線に立つJACKだ！」
『……王様は？』
「えぇ……じゃあお前はJACK兼KING！」
まるで頭が悪い回答だ。やっぱり暁も頭を良くしないと。
『意味分かんない』
でも、変に納得してしまう自分が居た。そんな私に、暁は真っ直ぐ手を差し出した。
「よろしくJACK」
握り返す。
『うん。よろしくQUEEN』
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
