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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈13年前
慌ただしい日々の中で、ただじっとしているだけだった私たちには、新しい任務が課せられた。叶多様のお守りだった。
『つーきなっ！あとぼー』
「はい。今日は何をしますか？」
花火のように毎日笑顔を咲かせてやってくる叶多様に、私はだいぶ心酔していた。ファミリーの中でも、いつでも叶多様は可愛がられた。男の跡継ぎじゃないとか、そんなこと言う人は誰も居なくて。
ただ一人、私の弟を除いて誰も不満を言わなかった。
「ねーちゃん！おれのクルマはぁ？」
「ちょっと待ってて。今叶多様と話してるの」
「……っ」
私がこう言うと決まって頬を膨らませてどこかへ行ってしまう。その度に自己嫌悪に陥るが、目の前の笑顔にそれすら忘れてしまうのだ。
父と母はボスとマザーの右腕。国内、はたまた国外までも飛び回っているので顔を見る回数は少ない。暁には申し訳ないと思っている、けど……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ムカつく。あいつが生まれてからずっと……おれはおこってる。
みんなあいつばっか見るんだ。おれがなに言っても聞いてくんなくて、ねーちゃんも“かなたさま”ってずっと言ってる。ムカつく……おれより弱いくせに……
「おれの方が強いもん……」
池のまえにしゃがんで言う。だれも聞いてくんないのに。
「そうだな」
うしろで声がした。おれがソンケーする、だいすきなボス。みんなの父さん。
ボスはおれのとなりにしゃがんで、池のなかのさかなを見てた。
「ごめんな暁」
「！」
「みんな叶多に構ってて面白くないだろう？お前ももっと遊びたいのにな、すまない」
「……」
「暁は叶多より強いのはみんな分かってるさ。……だから叶多を守るんだ」
「……なんで？」
ボスはかっこよく笑って、おれの頭をなでた。
「強い奴が、弱い奴を守るんだ。男なら、女の子を守るんだ。
だから……叶多を守ってやってくれ暁。ボスの命令じゃなくて、男と男の約束だ」
顔のまえに出されたこゆび。これはしってる、ゆびきりげんまんだ。
ムカつく……ムカつくけど、あいつの笑った顔……ちょっとかわいいんだよな。
「……わかった。約束！」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
