116発目 ページ33
数日経ってある日、ほぼサーバールームに閉じこもっていた私と暁は同時に伸びた。
「はぁ……ちょっと出てくる」
『んー』
「昼飯は自分で作れよ」
『はいはい』
何故か運動しやすい服に着替えて出て行った暁を不思議に思いながらも、また新たな受信メールに目を向けた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
多少なりとも怪しまれててもしょうがねえな。
そんな事を考えながらあるバーに入る。
「ジジイ、先客は」
「相変わらず口が悪ぃな坊主。そいつらなら下に居るよ」
「サンキュ。これ、代だ先に払っとく」
カウンターに札を何枚か置いて、階段を降りた。地下には、フランスにあったあの闘技場のような空間がある。
「よう」
声をかけると2人は振り返った。どうやら先に始めていたらしい。リュックをその辺に放り投げて上着を脱ぐ。軽く跳ねたり手首を回したりして2人に近づく。
「遅かったな」
「回り道して来たんだよ」
「ウェスト、一旦休憩してろ。俺はコイツとやる」
「じゃあ……遠慮なく」
言い終えたところで飛んできた拳を避けた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「3人揃って死んでんのかぁ？飯置いとくから適当に食えよ」
端にあるテーブルにトレイを置いて、ジジイはゆったりとした足取りで階段を上がって行った。
「ふぅ……ROCK、てめぇはまだ言ってねぇのか。この事」
「……言う訳ねぇだろ。お前ら嫌われてんだぞ」
「そう言うQUEENだって……JACKには何も言ってないだろ」
「そりゃてめぇも一緒だウェスト」
俺が起き上がると、2人ものっそり体を起こした。
QUEEN、ROCK、ウェスト。この3人が集まって一体何をしているのか。敵同士なのにも関わらず。
まぁ、あれだ。筋トレってやつだ。明らかパワー系な俺らは、どこか自分1人でのトレーニングに限界と不満を感じてる。ウェストが俺と、俺がROCKとバトり始めてからこの奇妙なトレーニングは始まった。
もちろんお互いが敵だという事は承知の上。友達のような関係でもない。殺せと言われたら躊躇なく殺す。
「「「JACK/グラウンド/KINGが知ったら怒るだろうなぁ……」」」
隠し事をするガキみたいに、こうして俺は他を利用して強くなる。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
