No.137 ページ37
「聞きたいこと？」
「――うん」
私は頷く。
｢康二くんが、
……あのとき言ったことの意味を、教えてほしいの。
――放課後、
グランドのそばで
康二くんが言った、あの――
かきまわしたってことと、
今の現状は自分が蒔いた種なんだって言った
――その、言葉の意味を」
そう言うと、
康二くんは困ったような表情を浮かべた。
「……目黒から聞いてへんの？」
「…………うん」
「あー、そんな感じか」
康二くんは察しがついたらしく苦笑いを浮かべた。
「……まず、確認しておこか。
あのときっちゅうのは、
俺が二回目に振られたときのことやね？」
「……振られたっていうか、あれは私が、」
康二くんは私の言葉を遮る。
「まあまあ。
その話は置いとこうよ。
……で？
言ったことっていうのは――
川波と俺のことでいいんかな」
うん、と小さく呟いてから、
私は付け足すように言葉を述べる。
「……言いたくないことなら、
言わなくても構わないけど……」
「や、えーよ平気。
……それに、もう制裁は受けとるし」
「え？」
「ちなみに何か賭けて勝負するのって
Aちゃん的にプラス？」
「………賭け？
うーんと……どっちかといえばあんまり……」
「まあーそうだよな。
……川波にはさあ、大切なやつがおって。
あんなことしちゃったからそいつがうるさいのなんのって――」
「……話が見えないんだけど」
もしかして逸らしてるのかと尋ねる。
「うん」
悪びれることなく康二くんは笑った。
「はっきり言うと、言いたくないねん。
Aちゃんに嫌われたないし。
……まあ俺が悪いんやけど。
――目黒が隠したのも、それが理由なんやから」
言葉と裏腹に康二くんはふっと笑みを表せた。
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月15日 18時
