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No.99 ページ49
「たとえ今が違うとしても少なくとも友達だった以前、
目黒くんはそんなこと言ってても、
ずっと隠し事してた。
友達だとしても言えないほどのことを、
私も、……湊ちゃんだって言ったのに。
……そんな風に
目黒くんがずっと何かを隠してたってことが、
私は一番許せなくて
……だから怒ってる」
私が睨んでも、
目黒くんは表情を変えなかった。
私はそれが腹ただしいくて、
歯がゆくて、怒りの行き場を見失う。
「……俺としては隠してるつもりはないんだけどな」
目黒くんはそう言って苦笑する。
「……でも、
きっと聞いてきたら俺ははぐらかしたろうな――」
もう一度目黒くんは観覧車を見上げる。
ふっと私に向けて笑った。
「気にしてないつもりで気にしてたのかな。
渡辺から察するに、
俺はずっとその過去に拘っていること自体を隠したかったのかもしれない」
目黒くんは私を見て話してるはずなのに、
……なんだか遠くを見ているみたいだった。
「……気にするほど大した過去じゃないんだよ。
――あることがあって、
それで誰かが一人不幸になった。
なんて、
……俺はそんな小さなことを女々しくも気にしてるだけの話だよ」
私は首を振る。
「……小さなことなんかじゃない」
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月11日 11時
