それでも好きになった。② (ページ38)

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No.88 ページ38

「……目黒とはどうなったん？」

私は、俯く。

「……勇気、もらったのにできなかった。

目黒くんは私に関わってほしくないみたいだから。

……川波さんがいるんだし」

「……あいつから話聞いてへんの？」

怪訝そうな顔で眉をひそめている康二くんに、

私は首を傾げる。

「話もなにも私には関係ない……」

言ってて、空しい。

康二くんは声を小さくした私の肩を掴んだ。

「目黒が川波と別れたってことも？」

「え……」

何やってんねん、あいつ、と

康二が呟く。

呆れた顔をしている。

「……それでAちゃんは諦めるんか？」

「……どうすればいいんだろうね」

自嘲ぎみに微笑んだ。

嫌われてもまだ目黒くんが好きな私は、

愚かとしか言いようがない。

……そっか、別れたんだ。

嬉しいこと……なんだろうな私にとって。

そう考えて自己嫌悪する。

そうなると目黒くんが康二くんに苛立っていた理由は

川波さんが康二くんを好きになってしまったからなのかもしれない。

察しがいい目黒くんのことだから、

康二くんがまだ私のことを好きだってわかってて――

キス、したんだろうか。

康二くんへの当て付けのために。

……それなら、目黒くんは川波さんをそこまで好きなんだろう。