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A「毎日のように一緒にいたので、
こんなに長期間会えなくなってしまって、少し寂しいんです。」
我妻さんは、真剣な表情で話を聞いてくれた。
我妻 「…好きなんだねぇ。」
A「…へ?」
我妻 「恋の音がする。」
…恋?
我妻 「え、まさか気づいてなかった?」
気づくも何も…え!?
我妻 「ごめん!余計なこと言っちゃったかも!」
A「いえ!いいんです!」
むしろこの気持ちに気づかせてくれて感謝したいくらいだ。
A「…恋の音…しますか?」
我妻 「…うん。彼のことを話しだしたときから、ずっと聞こえてた。」
面と向かって言われると恥ずかしくなる。
やっぱり恋なのか…これが。
今までに何度か恋はしてきたけれど、
毎回、気持ちに気づくのは時間がかかった。
女子たちと話しているときも、
大体恋愛話だったけれど、
まだ良くわかっていなかったから適当に聞き流していた。
しかし、こんなにも人を好きになったことはない気がする。
彼の顔を思い浮かべたとき。
今までとは違う心拍数。
顔に集まる熱。
苦しくなる胸の奥。
全部、恋から来ていたのか。
ようやく謎が解けた気がした。
随分前からこういうことは度々あったから、
ずっと彼が好きだったのかも。
我妻 「でも、それだけ優しくされたら惚れちゃうよね。
それに、多分其奴も、Aちゃんのことは大切に思ってると思う。
他人に無関心な奴って本当に冷たいから。」
そうだといいんだけどな。
もし、時透君が帰ってきたときに、私を忘れていたらどうしよう。
多分一生立ち直れない。
我妻 「告白しちゃえば?
鬼殺隊なんだし、いつ会えなくなるかわからないよ?
たとえ柱でも…そういう仕事なんだし。」
A「…分かってます。…でも、彼には言いません。」
我妻 「!?」
A「…彼にとって…そういうのは迷惑ですから。」
二年前、時透君に気持ちを伝えた子を彼が断った理由。
それは、鬼殺隊だから。
私のこの気持ちは、彼にとって邪魔にしかならない。
隠しておかないといけないんだ。
我妻 「っ!でも!」
すると部屋の扉が開いた。
竈門君と嘴平さんがすごい形相で入ってきた。
竈門 「…A…。来てたのか…。」
こうやって、我妻さんとの話は途切れた。
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