それはまるで雪のように。《竈門炭治郎》

丗捌 ページ39

炭治郎side

赤碕山に入り、雪乃の姿を探す。




炭「どこだ、雪乃…どこなんだ」




くそっ、ここは色んな匂いがしてごちゃごちゃしてる…！





しっかりしろ炭治郎。雪乃の匂いがわからないなんて彼氏失格だ(←彼は至って真面目です)。




五感を研ぎ澄ますんだ…！









、
















、









雪乃と…鬼の匂い!!!!!!!






あっちか！




匂いがした西の方向へと進む。





そして…





炭「居た」






少し向こうの方に、2つの人影。







男と女。





間違いない。あれは雪乃だ。





闇の中でも、彼女の眼が輝いている。







闇を引き裂く、白と水色。



幼い頃、血鬼術によって出来たものだと言っていたが、それにしても綺麗なのだ。






炭「ｯ！」





男が、いや鬼が、雪乃の隊服に手を掛け、釦を外している。






プツンと何かが切れた。









炭「水の呼吸、弐ノ型、水車」





何も言わせず、頸を斬る。







炭「雪乃!!!!!!!」







ずるずると座り込んだ雪乃が目の前に。









「炭治郎ｯ!!!!!!!」








その小さな体を抱き寄せる。





「怖かった…何されるかわかんなくて…ｯ」






炭「大丈夫、大丈夫だから。落ち着いて」





ボロボロと泣く俺の腕の中の少女は、柱候補と噂される彼女だとは思えないほどに、儚く、消えてしまいそうだった。








炭「何があったか、ゆっくりでいいから話してくれるかい？」






「うん…っ」









話を聞いた後、俺の胸には嫌悪感と不快感しか浮かんでこなかった。





炭「ひどい、ひどすぎる。早く御館様に知らさなくては！」





「うん。それに、私が鬼に喰われてないっていうのも強力な証拠になるね」








炭「…雪乃。今までよく耐えたね。頑張った」





「ありが、とう…！」






再び彼女は泣き出し、俺はもう一度抱きしめた。





炭「でも雪乃」




「ん？なぁに？」






炭「鬼にこんなことされちゃダメだよ？雪乃は可愛いんだから、もっと用心しないと」






そう言いながら、はだけた釦を付け直すと、雪乃は可愛いくらいに真っ赤になった。








炭「でも本当に、無事で良かった」

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