それはまるで雪のように。《竈門炭治郎》

拾伍 ページ15

雪乃side

「ただいま、戻りました」



水屋敷の引き戸をガラガラと開け、中へ入る。




冨「雪乃」




師範に呼ばれ、彼の元へ行く。



ああ、もしかしたら、先のことかもしれない…。




師範はどうお思いになるのだろうか…。





「はい」




冨「…胡蝶から、文が来た。雪乃が隊員を傷つけた、という内容だ」




やっぱりそうだった…。




冨「雪乃、本当に、お前がやったのか？」




「やっていません、決して。師範や御館様、鬼に喰われて死んだ家族に誓って言えます」





冨「…」




師範は1つため息をつくと、こう言った。





冨「だろうな。お前はそんなことをする者ではない」





「師範ｯ…!」





信じてくれた、師範が信じてくれた。




どんなに嬉しいことだろう。



「ありがとう、ございます…」



自然と涙が溢れてくる。嗚咽が出そうになり、慌てて口を噤んだ。




冨「我慢するな、今は泣け。辛い思いをしたな」



師範が手を広げ、こっちへ来いと言う仕草をする。




躊躇いはなかった。師範の胸に飛び込み、子供のように泣きじゃくる。




優しく頭を撫でてくれる、大きな手。




「私の師範がっ、師範で良かったっ」





冨「支離滅裂だ」




師範が呆れたように小さく笑う。





大きなその体に包まれ、私は眠りについてしまった。

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