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「おばあちゃん、あそこにあった和菓子屋さんは？」
『あそこはもう廃業したみたいだよ。
ご夫婦でされてたけど、旦那さんの方が体調崩したみたいでね。
息子さんも今東京で働いてるみたいで継ぐ人もいなかったんだと。
寂しいもんだけど、しょうがないよね』
「そうなんだ…。そこの豆大福、大好きだったなあ。」
知らないうちに地元だった場所が新しい姿になっていっていて。
多分、気付かぬうちに私の過去の記憶とは、かけ離れた場所になってしまうのかもな。
そう思うと、私の淡い記憶も消えてしまうのだろうなとふと悲しくなった。
・
景色を見ていたはずなのに、気づけば瞼を閉じていて、
A、もう着いたよ、っておばあちゃんに肩をトントンされて目を覚ました。
車からおりると、さっきまでの風景とはガラリと変わり、車の音も、信号機の音もしない。
聞こえてくるのは、風で枝の葉っぱがカサカサと鳴らす音だけ。
市街地から少し離れたこの場所。
民家がポツポツとあるこの場所。
ここには佐倉家のお墓がある。
ここには私のご先祖さまと、私のお父さん、お母さんが眠っている。
枯葉を箒で掃いて、東京駅で出発前に買った花たちに入れ替えた。
そして、お母さんが好きだった白壇の香りのお線香を焚いて、墓石の前で手を合わせる。
お父さん、お母さん、
Aはね、今仕事頑張ってるよ。
色んな仕事を任されることも増えて、忙しいけど楽しい。
全然来れなくてごめんね。
これからも見守っていてください。
・
『あれから5年になるのか。』
ボソッとおじいちゃんが呟いた。
「あの日は20歳の誕生日だったからね、
……もう少しで5年。」
そんなに経ってしまったんだね、
と一人呟きながら、墓石に刻まれた両親の名前を指でなぞった。
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もっちもちさくら(プロフ) - 優希さん» コメントありがとうございます！模索していた作品ですが楽しんでいただけて幸せです😭まだ色々と書きたいこともあるので、是非とも番外編を楽しみにしていただければと思います！！ (2022年7月21日 17時) (
レス) id: 4baa1664b1 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 完結おめでとうございます！好きな作品だったので終わってしまうのが凄く寂しいです😢また番外編等でお会いできたら嬉しいです🥺 (2022年7月21日 17時) (レス) @page50 id: e49244e76b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もっちもちさくら | 作成日時：2021年10月9日 11時
