10. ページ10
ぼんやりとする意識の中、鼻を擽るお香の香り。
微かに誰かの話し声が耳を掠め、重たい瞼を必死に持ち上げる。
次第に開けてくる視界に映りこんだのは、意識を失う前に見た二人だった。
「この子がお嫁にいけなくなったらどうするの〜?責任とってあげてよね、鍾離さん。」
「だから何度も言ってるだろう。そういうつもりでは、」
「はい、出た!!鍾離さんの『そういうつもりでは』発言!!その台詞、往生堂に請求が来る度に言ってな〜い?」
目の前ではそんな会話が繰り広げられており、未だハッキリしていない私の脳内では上手く処理出来ない。
ゆっくりと身体を起こすと、掛けられていた毛布が音を立て落ち、私が綺麗な敷布団に寝かせられていた事に遅れながら気付く。
「あ、目が覚めたんだね!?良かった〜!!」
落ちた毛布を拾い上げているとパタパタと駆け寄って来たのは満面の笑みを浮かべた女の子。
その後ろからは男性が顔を覗かせ、ほっとしたように息を吐いた。
「このまま目が覚めなかったら
どこか含みのある物言いに首を傾げていると、男性が「やれやれ」と肩を落としつつ、琥珀色の瞳を私へと向けた。
「身体の方は大丈夫か?」
「はい、お陰様で。助けて頂きありがとうございました。」
あのままだとどうなっていた事か。
スネージナヤから逃げ出して早々、牢屋行きなんて真っ平御免だ。
万葉さん達といいこの方達といい、助けられてばかりだという事実に少しばかり歯痒さを覚えつつ再度頭を下げた。
「ほら、鍾離さんも謝った方が良いんじゃな〜い?彼女の身体、触っちゃったもんね〜?」
ニヤニヤ...というよりニマニマと言った方が正しい表情を浮かべなら、鍾離と呼ばれた男性を見やる。
身体を、触った...?
「え、と...?」
その言葉通りに捉えていいものか迷っていると、男性がポツリと気恥しそうに言葉を落とした。
「すまない。」
率直な謝罪が頭の中を忙しなく駆け巡る。
と同時に起きる直前に二人が会話していた内容がやっと理解出来た。
「私もしかして、お嫁に...行けない!?」
1167人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちごみるく(プロフ) - の〜さん(旧もこ)さん» 原神は皆個性があって素敵ですよね🌟オチとかは今のところ考えてなくて皆から(恋愛的に)愛される小説目指してますので頑張ります🥰 (3月17日 20時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - 私原神のキャラ全員推しなのと愛され大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (3月17日 20時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
狸 - 返信ありがとうございます!!!!どんなにたっても待ちますよ!!!!!! (2月28日 10時) (レス) id: 9a07639c58 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 狸さん» もうそんなに経ってたんですね😭😭長らくお待たせしてしまい申し訳ないです💧 (2月28日 4時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 狸さん» わああありがとうございます😭😭💖💖ほんとに原神に出会って人生が360度変わったと言っても過言ではないので本当に嬉しいです😿😿💖 (2月28日 4時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いちごみるく | 作成日時:2022年11月23日 21時