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「ま〜、みかりんの気持ちも分かるけどねぇ。」
そう言った凛月さんは衣更さんによって引き剥がされ、黒い彼は不服そうに溜息を吐く。
「この場である意味健全じゃないのって、ま〜くんだよねぇ。」
「いやだって困ってんだろ?こういうのは順序が大事だって言うしさ。」
「欲望に躊躇いはいらないって言うじゃん。」
「あーもう!UNDEADから歌詞を引っ張ってくるな!」
二人の会話を横目に、真白くんは私へと歩み寄ると遠慮がちに頬をするりと撫でた。その指先はやがて私の指を絡め取ると、願う様にきゅっ、と力を入れる。
「危なっかしいなぁ、Aちゃんは。衣更先輩が止めなかったら、どうなってたか…。」
「ふふ、わたくし達も影片さまを咎める権利は無いのでは?凛月さまの言葉を借りるなら、欲望に逆らえないのが我々男の性というものですから。」
余裕綽々な様子の伏見さんに、南雲くんは「それでも悔しいじゃないッスか!!」と唇を噛み締めている。
「そうでしょうか?
今、とんでもない発言が伏見さんから聞こえた気がするが。茨くんと思考回路が似ていそうな事実に身体が粟立つ。
さすがはEdenを門外へと押し出していただけの事はある。
「伏見のその理屈には俺様も賛成だぜ。」
「そうやって堕ちていった様を想像しただけで興奮するねぇ。ねぇ、ま〜くん?」
「そうだな。他の男なんて眼中に入れて欲しくないし、俺だけを見ていて欲しいしな。……っておい凛月!!何言わせんだよ!?」
何やら男性陣で話が纏まっているらしく、恐らく事の発端になったお姉ちゃんもきゃあきゃあと飛び跳ねて騒いでいる。
「なるほど、俺でしか満足出来なく…ッスか。さすがはfineに所属してるだけあるッス!!パネェッスよ、伏見先輩〜〜!!」
落ち込んでいた南雲くんが一気に元気になり、高峯くんやひなたくん達も会話に混ざり盛り上がっている中、影片さんは未だに頭を抱えて唸っている。
終業を告げるチャイムが鳴ったが、盛り上がっている所為でその音は見事に掻き消され、声を掛けようとするけれど話の話題が私である以上、気恥しさから憚られてしまう。
「あれ、もしかして授業長引いてます?」
どうしようかと迷っていた所、救いの手を差し伸べてくれたのはこの学院で初めて見かけたであろう、青髪に眼鏡を掛けた男の人だった。

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いちごみるく(プロフ) - ああさん» わあっコメントありがとうございます🥲💖更新頑張るのでこれからも応援して下さると嬉しいです🌟 (12月4日 14時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 毎回更新楽しみにしてます!頑張ってください (12月4日 14時) (レス) @page30 id: e23ab71cab (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - いちごみるくさん» ?!こんなにも素晴らしい作品の作者様に読んでもらえてるなんて嬉しすぎます…🥹お互い執筆がんばりましょう🫶🏻 (11月17日 17時) (レス) @page13 id: c4d8e8a0ac (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - つきさん» わあ〜!ありがとうございます😭💖実はつき様の作品も読ませて頂いてます👉🏻👈🏻♡ (11月17日 14時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…更新がんばってください! (11月16日 11時) (レス) id: c4d8e8a0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごみるく | 作成日時:2024年11月10日 15時