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「もう既に泣きそうなんですが…?」
強がっている振りをして茨さんを見上げるも、彼は愉悦に浸った様な表情を浮かべるばかりで、身体を離してくれそうにもない。
日和くんに助けを求めようとそちらを見るけれど、彼はナイトウェアが濡れないようにと首に巻いていたタオルを外して、そのタオルで私の目元を優しく抑えつける。
急に暗闇に支配された事によってバランス感覚を失いそうになったが、茨くんが強く私の腰を引き寄せてくれた為、転ばずには済んだものの、私の心臓は忙しなく煩い。
若干湿っているタオルの感触と、そのタオルから日和くんの匂いが漂ってきて、何とも言えない感情が押し寄せてくる。
「凪砂くん、ジュンくん、助け____……、」
『助けて。』その声は最後まで言わせて貰えずに、代わりに私の口元を覆う……この感触は恐らく、誰かの手で。
その所為で言葉にならない声を出す私は、どれ程滑稽に見えるのだろうか。
「Aさんは、可愛いね。…とても愛おしく思う。」
凪砂くんの声がすぐ耳元で聞こえたかと思えば、身体が後ろに倒れていく感覚に襲われる。
本来ならば、ソファや床敷特有のクッションがある筈なのだが、私の背中が受けた衝撃は柔らかいというより、かなり硬い何かで。
「茨。オレをクッション代わりにしないで貰えませんかねぇ〜?」
「ずっとソファを陣取っているのが悪いのでは?」
ジュンくんの吐息さえ感じられる程の距離に、まさか…と私の思考は停止する。
「Aさん、いい匂いしますねぇ〜?」
ジュンくんのその声と共に、後ろの首筋に擽ったい感触がして、嫌でも確信してしまう。
「ジュン、彼女の手を拘束しておいて下さい。」
前方では間近に茨くんの声がして。その声に倣う様に後ろ手で拘束される私の手は、もはや抵抗の意思など無いかのようにされるがままになっている。
きっと私が茨くんに押し倒された先は、ジュンくんの上だったんだと確信してしまった以上、抵抗など何の意味があるというのだろうか。
自由を取り戻した口も、今では大人しく引き結ばれていて。
「たっぷりと、分からせてあげないとね?」
日和くんの声が耳を撫で、既に暗闇だから意味が無いというのに、反射的に目を瞑ってしまった時。
______……『Amazing!あなたの日々樹渉です!』
妙にテンションの高い声が、この雰囲気をぶち壊すかの如く響き渡った_____……。

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いちごみるく(プロフ) - ああさん» わあっコメントありがとうございます🥲💖更新頑張るのでこれからも応援して下さると嬉しいです🌟 (12月4日 14時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 毎回更新楽しみにしてます!頑張ってください (12月4日 14時) (レス) @page30 id: e23ab71cab (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - いちごみるくさん» ?!こんなにも素晴らしい作品の作者様に読んでもらえてるなんて嬉しすぎます…🥹お互い執筆がんばりましょう🫶🏻 (11月17日 17時) (レス) @page13 id: c4d8e8a0ac (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - つきさん» わあ〜!ありがとうございます😭💖実はつき様の作品も読ませて頂いてます👉🏻👈🏻♡ (11月17日 14時) (レス) id: 9c0c3ed197 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…更新がんばってください! (11月16日 11時) (レス) id: c4d8e8a0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごみるく | 作成日時:2024年11月10日 15時