84 ページ34
.
すっかりにわか雨も通り過ぎて晴天の空とは反対に、私の気持ちは最悪だった。
…まさかオッパにばったり会うなんて。
…ん、まって、オッパもLS会社に用事があるって言ってなかった?
いや、私を会社に送るための口実だよね?
私はバカな考えを振り切るようにフロントに駆け込んだ。
.
受付で挨拶を済ませて通された小さな会議室。
LS社は中小企業で少数精鋭らしく、優秀な人がたくさん勤めているみたい。
トントン、とノックの音がしてゆっくりと開かれるドア。
私は返事をする代わりに振り向いて、入ってくる人物を確認した。
GS「…お待たせ致しました。今日からお世話になります、ド・ギョンスと申します。」
「…え?」
GS「どうかなさいましたか?」
「え、え、なんでオッパが?」
頭が混乱してあたふたしていると、オッパは冷たい視線を向けた。
GS「…お言葉ですが、仮に面識があったとしても仕事上言葉遣いがなってないと思います。社会人なら敬語を使うのが当然ですよね。」
淡々と言い放ったオッパ…、いや、ギョンスさん?
いやまって、オッパ…いやギョンスさん、…もうオッパでいいや。
オッパはLS社で働いていたの?
初耳なんだけど…。
「…申し訳ありません、Aと申します。こちらこそ、よろしくお願い致します。」
…これで、いいのかな。
頭を下げたままちらっとオッパの方を見ると満足気に頷いていた。
GS「では弊社の説明からさせて頂きますね。」
戸惑う私に構うことなく淡々と仕事の私を続けるオッパ。
こんな状態で話されても何も頭に入ってこないって!
でも今のオッパは完全に仕事モードだから私が何を言っても無理そう…。
「…はい、よろしくお願いします。」
私はしぶしぶ了承して仕事に集中しようと頑張った。
.
長かった初の顔合わせ(?)も終わり、緊張の糸も解れる。
うーん、と伸びをしてこのよく分からない状況について考えていると、先に口を開いたのはオッパだった。
GS「もうここからはプライベートでいいよね?」
「あ、はい。」
GS「ふふ、Aの方が仕事モード抜けてないね?」
そうやって唇をハートにして笑うところは変わってない。
GS「この後ご飯でもどう?…あ、これはちなみに誘ってるんだよ。妹の近況が知りたいんじゃなくて、Aの近況が知りたいの。」
わけがわかんない。
妹は私で、私は妹なんじゃないの?
.
457人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - 年上の女性のいたいところ…セフン頑張って! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:nel_ | 作成日時:2019年11月12日 19時