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あれからの事は何にも覚えてない。
ただ、気付いたらセフンさんの家に居た。
足は傷だらけで、涙の跡もあった。
SE「…大丈夫、ですか？」
「あ…、すみません、何も覚えてなくて。」
正直、もう誰も信じられない。
…セフンさんだって、きっといつか私を傷付けてくるんだ、ってどこかで思ってる自分も嫌になる。
「…迷惑かけて、ごめんなさい。もう行きます。」
どこへ行くの？、ってオッパの声が聴こえた気がしたけれど、頭の中でかき消す。
SE「…Aさん。もう充分頑張ったんじゃないですか？」
「え…。」
責める訳でもなく、慰める訳でもなく、ただ受け止めてくれたセフンさんの優しい声。
SE「僕は、まだなんて言ったらわかんないですけど…、Aさんは、Aさんの生きたい様に生きればいいと思います。」
私の、生きたいように。
SE「きっと悲しくて、耐えられなくて、どうしようもなくもがいてもがいて、逃げて。…誰も受け止めてくれないなら、僕がAさんを受け止めるから。…少しづつ、前に進めばいいと思うんです。」
すー、っと、頬に暖かい一筋が流れる。
私が欲しかった言葉、なんだろうか。
「…っ、あ、ありがとう、ございますっ…、」
涙が溢れて止まらないけれど、ちゃんと言葉にして伝えなきゃ。
SE「…本当は抱きしめたいけれど、Aさんがちゃんと気持ちの整理が出来るまで待ってます。」
そう言ってセフンさんは少し困ったように微笑む。
…どうしよう、私はそのセフンさんの優しい表情が好きだ。
「…セフンさん、…離れないで。」
触れられるのは少し怖いけれど、近くに居て欲しいなんてワガママだろうか。
SE「…僕で良ければ。」
どうしてこんなにセフンさんの傍は居心地が良いんだろう。
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「…私、帰る場所なくて。ソアに連絡します。」
いつまでもこうしている訳にも行かないし、これからの事も考えなきゃいけない。
SE「…あの、もし良かったら、なんですけど。」
外れていた視線がしっかりと私を捉えた。
SE「しばらくここに居てもいいです、よ…？」
上目遣いで少しはにかんだセフンさん。
SE「というか、居てください。僕が心配なんです。」
セフンさんの居る生活は、退屈しなさそうだ。
…寂しくなることも、怖い思いも。
勇気を出してセフンさんの手を握ってみる。
セフンさんの手は、優しくて、温かい。
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作者名：nel_ | 作成日時：2019年10月18日 22時
