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「そういえば、この前の電話…本当にすみませんでした…。」
SE「あぁ、全然大丈夫ですよ。僕こそいきなり切っちゃってすみません。ミンソギヒョンのイタズラかなぁって思って。」
少し困ったように微笑むセフンさん。
今日だけでこんなに沢山の表情が見れるなんて、思ってもみなかった。
「…でも、いきなり担当がミンソク先輩から私に代わっちゃって大変ですよね。すみません。」
SE「いえ、気にしないでください。…むしろ、嬉しいかも知れません。ミンソギヒョンには悪いけど。」
「え?どうしてですか?」
SE「こっちの話です。」
今度は私を真っ直ぐに見て目を細める。
…なんだろう、こっちの話って。
というか、本当に笑った顔かわいいなぁ。
セフンさんには失礼だけど、ミンソク先輩の言う通りだ。
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今日の案件にちょうど区切りがついて、帰り支度をしていると会議室のドアが開いた。
BH「お疲れ様で〜す!A〜迎えに来たぞ〜。」
そこにはすっかり意気投合したのか、仲良く喋るベクとジョンデさんとチャニョルさん。
SE「…お疲れ様です。」
セフンさんのさっきまでの柔らかかった表情は、以前のように冷たくなっていた。
「ベク、セフンさんに失礼でしょ!ジョンデさんチャニョルさんすみませんベクが迷惑かけました…。」
仲良くなるのはいい事だけど、もうちょっとわきまえなさいよ!
BH「じゃあ行くぞA!後でベッドかけてじゃんけんするぞ!」
そう言って豪快に笑ったベクを叩きたくなる衝動を抑え、なんとか見苦しい姿を見せないように作り笑いをする。
全く、なんて爆弾を落とすんだ。
誤解されるような言い方をするんじゃない…と、セフンさんの方をちらっと見ると、黙々と資料を片付けていた。
カバンの中には、ちゃんとひよこのかわいいクリアファイルが入っている。
SE「…Aさん、見すぎです。何か言いたいことでもありますか?」
あれ、私そんなに見てた!?
「すみません!何でもないです!」
SE「…そうですか。…あの、この後時間ありますか。」
「え?」
SE「食事でも、と思って。」
まさかのお誘いに固まってしまった私にセフンさんはお構い無しで連絡先を押し付ける。
SE「じゃあ。良かったら連絡してください。」
そう言ってセフンさんは音もなく消えた。
押し付けられた番号はどうしようもなく私の手の中にあった。
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作者名:nel_ | 作成日時:2019年10月18日 22時