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ソウル駅から徒歩10分。
ごく普通のOLとして働く私は、今日も残業に追われていた。
生まれてこの方、彼氏ナシ、恋愛経験ナシ。
25手前で友人がどんどん結婚していく中、私だけが置いていかれている気がする。
JI「先輩、お疲れ様です。」
「あ、ジョンインくん。お疲れ様。」
爽やかな笑顔を振りまいている彼は、会社でも人気のイケメンとして有名。
そんな人気な彼だから、私には直属の後輩という点でしか関わりはないんだけど。
鞄を片手に、反対の手にコーヒーを持ってジョンインくんはオフィスを後にした。
後輩でさえ退社してるのに、残業してる私って…。
自分が置かれている環境にため息さえ出るけど、仕事が出来ない独身女なんて救いようがない。
そう、仕事だ仕事。
私は仕事に生きるんだ、と言い聞かせもう一息頑張ろうと給湯室に向かった。
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「コーヒー、切れてるし…。」
給湯室には豆が空になったコーヒーメーカーがポツリと佇んでいる。
「私、これがないと仕事出来ないよ…。」
はあ、とため息をついてすぐ近くのコンビニにでもコーヒーを買いに行こうかと考えていると、給湯室のドアが開いた。
JI「あれ、先輩まだ帰ってなかったんですか?」
ドアの方に振り向くと、さっき退社したはずのジョンインくんが居た。
「ジョンインくんこそ帰ったんじゃなかったの?」
JI「そのつもりだったんですけど、給湯室のコーヒー豆が僕のが最後で切れちゃったので買ってきたんです。」
救世主か、君は…!
さすが社内でも人気のイケメンなだけある。
JI「そんなにキラキラした目で喜んでくれるなら、買ってきた甲斐があった。」
「え、」
どうやら嬉しい気持ちが顔に出ていたらしく、ジョンインくんに微笑まれる。
「あ、いや。嬉しいけど…、恥ずかしいな…。」
JI「ふふ、先輩、このブレンド好きでしたよね?」
ジョンインくんの手元には、私が大好きなマンデリンブレンドの袋。
「ああもう!それ大好き!」
JI「よかった。じゃあ最初の一杯、どうぞ。」
ジョンインくんは豆をコーヒーメーカーに入れ、コーヒーが抽出されるのを静かに待った。
「いい匂い…!最高だよ、これは…!」
この一杯だけで残りの仕事も頑張れそう。
隣で優しく笑うジョンインくんにお礼を言って、デスクに向かった。
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作者名:nel_ | 作成日時:2019年10月18日 22時