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17.主人の真実 ページ20

吸血鬼。


それは、この人外の国で上位に位置する高等種族。


あらゆるものの血を啜り、糧として生きる、残虐な鬼の一種。


血に生き、血に死ぬ。


まさに、血のスペシャリストとも言える存在。


今の私が、一番避けなければならない相手だった。



(どうしよう、私の血の違いに気付かれたら……)



言い得ない不安が私を襲い、食ってかかる。



「え、この屋敷のこと、知らへんかったん?」


「……え? この、屋敷……?」



私が聞き返すと、さかたさんは一度顔を上げ、「……あぁ、そっか」と納得したように頷いてみせた。



「記憶喪失、やもんな。知っとるわけないか」



どこか哀れみが垣間見える瞳で私を見つめた後、さかたさんはそっと手を離し、身体を起こした。


動かせなかった身体が、すっと軽くなる。


さかたさんがベッドから降り、椅子に腰掛けたのを見て、私もゆっくりと上体を起こした。



「ここの主人……まぁ、今部屋の外で待っとるうらさんやけど。あの人、世界的に有名な吸血鬼一族の末裔やねん」


「……えっ!?」



知りもしなかった事実を告げられて、私は驚愕の声を漏らす。


でも、それなら納得がいく。


この立派なお屋敷にも、本人に漂う高貴さにも。



(……そんなことも、知らないなんて)



自身の無知さ加減に、呆れを通り越して怒りすら感じる。


身を守るためには、ちゃんと知識を得ないといけない。


そう、改めて感じた。



「だから俺が吸血鬼なのも知っとるかなぁって思っとったんやけど。知らんかったんやなぁ」


「……知りま、せんでした」



あのまま吸血されていたらと思うと、カタカタと身体が震える。


血の違いに気付かれて、純血だってバレて、殺されていたかもしれない。


私が震えているのに気付いたのか、さかたさんは気まずそうに視線を落とした。



「本当に吸血する気はなかったんやで? ただ、出来心で」


「大丈夫、です。びっくりした、だけですから」



そう言い張る私を前に、さかたさんはそっと立ち上がる。


何も言わずに出ていこうとしたその後ろ姿を見て、私はふと思い出して恐る恐る声をかけた。



「あの、さかたさん。さっき、一ヶ月くらい食事してないって言ってたの……血を飲んでない、ってことですか……?」



ぴた、とさかたさんの足が止まる。



「……まぁ、そんな感じ」



少しだけ振り返り、そう曖昧にぼかしたさかたさんは、それ以上何も言わずに部屋を出ていってしまった。

ー紅玉の独白ー→←16.彼の種族



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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2019年12月11日 1時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 人外の作品大好きです!これからも更新無理のない程度で頑張ってください! (2019年8月11日 21時) (レス) id: 9386fcb447 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うわ…坂田さん可愛い…志麻さんどこいった…好きやわ…人外もんはいいゾ〜 (2019年7月6日 17時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
風空 - 吸血鬼もの大好きです!また毎日の楽しみが増えました(*´ω`*)更新楽しみに待ってます!自分のペースで頑張ってください! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘夏れもん | 作成日時:2019年5月26日 20時

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