３０話 ページ37
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『君は、』
忘れかけていた思い出がパッと蘇った。
任務で出会った、夕焼けを彷彿とさせる赤い目と不思議な気配を持つ少女の記憶。
あの頃と少しも変わらない少女の姿がそこにあった。
「私は
海青ちゃんは悪戯っぽく笑った。
「う……ｸﾞﾙﾙﾙ……」
刹那、獣のような唸り声が鳴る。
ハッとして炭彦さんの方を向くと、炭彦さんの額には炭治郎くんと同じような痣が浮かび上がり、苦しそうに唸る口には牙が生えていた。
海青ちゃんは炭彦さんを一瞥すると、彼の首に手を当てた。
「《−古より 契り守りた 海原や 童の命 暫し留めよ−》」
海青ちゃんが和歌…呪文を唱えると炭彦さんの周りを水飛沫が舞い、牙や痣が消えていった。
「この術は応急処置みたいなもの。
･･･完璧に治すには供物が、生贄が必要なの。」
海青ちゃんの顔が曇る。
生贄…か。
海青ちゃんの表情を見るに、人の命か大切なものかな。
『ちなみに、その生贄って何？』
「お姉ちゃんの場合は今持つ全ての記憶。前世も含めるよ。
竈門炭治郎さんの場合は仲間と家族の記憶。
竈門禰豆子さんは鬼の頃の記憶かな。」
･･･ッ、
人が一番失いたくない
しかも、記憶の中でも一番大切なモノを。
「その記憶は戻るんですか？」
「いつかね。でも、思い出すまでにどれだけ時間がかかるか分からない。お婆さんになるまで思い出さない可能性もあるの。」
･･･なんだ、戻らない訳じゃないんだ。
『海青ちゃん。私の記憶を生贄に炭彦さんを助けてほしい。』
私の一言に炭治郎くんと禰豆子ちゃんが反対する。
「っ、駄目！蒼華ちゃんだけは駄目！」
「そうだ！蒼華が差し出すぐらいなら俺の記憶を、」
『ダメ。禰豆子ちゃんと炭治郎くんこそ、記憶を差し出しちゃいけない。
どっちかの記憶はあるから大丈夫なんて甘い考えは捨てて。
記憶が無くなって、人を襲っちゃったらどうするの？
記憶を失った時のリスクを考えたら、私の記憶を失くす方がいい。
だから、海青ちゃん。お願い。』
「─────分かった。」
海青ちゃんが何かを唱え始めるのと同時に私は手足の力が抜け、段々と気が遠くなっていった。
ﾊﾟﾘﾝ＿＿＿＿＿＿＿＿
最後に聞いたのはガラス玉が割れる音だった
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果鈴(プロフ) - 星猫さん» 鬼滅の刃、呪術廻戦、ハイキュー、約束のネバーランド、文豪ストレイドッグス、暗殺教室、ヒロアカです。暗殺教室とヒロアカは少し知ってる程度ですが……。 (2021年3月20日 8時) (
レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月20日 7時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - プスメラさん» プスメラさん初めまして。コメント、応援ありがとうございます。この小説のオチは決めていないので、今後アンケートという形でオチを決めたいと思っています。折角コメントして頂いたのにすみません。 (2021年3月3日 17時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - 果鈴さん初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願いします。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年3月3日 17時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - ましゅふわさん» ありがとうございます！頑張ります！一般入試…ですか。全力出し切りましょう！（偉そうにごめんなさい） (2021年3月2日 19時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：果鈴 | 作成日時：2021年2月25日 19時
