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『炭治郎……？』
その声に炭治郎はハッと気が付く。
Aが舞を終えても全く気が付かなかった。
｢すごい…すごいね兄さん！！｣
興奮して感想を伝えようとする炭治郎の頭に、ポン、とAの手が乗せられる。
｢＿＿！｣
『炭治郎も直ぐにできるようになるよ』
小さく微笑み、帰ろうか、とAは付け足して山を下りていく。
炭治郎は慌ててその背中を追いかけた。
ーーーーー
夕飯を食べ、風呂に入りみんなが寝静まった頃、Aは母の隣に座った。
出されたお茶を少し飲み、口を開く。
『………母さん、俺……』
僅かに言うのを躊躇う。
＿＿＿言ってもいいのだろうか。母を困らせはしないだろうか。
｢どうしたの？｣
母の笑顔を見る。
『…俺さ、鬼殺隊の同僚に、好きだって言われた』
母はうん、と相槌を打った。視線で続きを促される。
『その人が……男性なんだ。
その人の家は代々鬼殺隊の柱を務めてる』
母の相槌を聞きながら、少しずつ話していく。
『言われる前から薄々彼の気持ちには気付いてたんだ。…でも、正直有り得ないと思ってた。
彼は長男で、家のためにも子を残す必要がある。
……男の俺じゃ、それは出来ない。
それに、俺も長男だから……』
湯呑みの揺れる茶を眺め、1度口を噤む。
沈黙の中で、火鉢の中の炭がパチパチと音を立てた。
煉獄のその
そうにも関わらず、断って煉獄が悲しむ顔、諦める顔を見たくない。
そのような表情を、思いをさせたくない。
ひび割れてしまった家族の絆の中で苦しむ彼を、幸せにしたい。
竈門家の、先祖代々受け継がれてきた”ヒノカミ神楽”と”花札の耳飾り”を引き継ぎ、この先にも継いでいきたい。
家族には幸せに暮らしてほしい。
弟や妹たち、そして母には寂しい思いをさせているかもしれない。
一刻も早く鬼たちを＿＿鬼舞辻無惨を倒し、この実家で暮らしていきたい。
その、2つの願いがAの心を軋ませ、悩ませていた。
｢Aの、思うように生きればいいのよ｣
母の顔を見上げる。
｢Aは優しい子だから、人のことを案じて悩んでるんだね。
自分の幸せのために、生きればいいのよ｣
『でも、俺は＿＿』
｢周りがなんて言おうとも、母さんたちはAの味方だからね｣
そう言って微笑む母の顔に、目の奥が熱くなる。
『＿＿＿＿＿＿。
ありがとう、母さん』
Aは、心の底からの感謝の言葉を告げた。
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……！！更新楽しみにしてます！ (2022年12月12日 19時) (
レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった！！ (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか？(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼＆夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます！！本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜！ (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2021年1月3日 0時
