やぶ病院は知っている

二次元の世界 ページ7

翌週。その日は秀明がなくて、文芸部の部室に行って、悠飛に言われた童話を書いてみようと思った。

どんな設定にしようか悩みに悩んで、やっと書き出しに入った。

それは、一匹のウサギが、自分の生まれ故郷や仲間を探して旅をする話。

その中で、ウサギは色々な環境で生活をしているウサギに出会っていく。

与えられた刺激が

ウサギをどのように変えていくのか…………？

ああ、長くなりそう…………。

あ、ウサギのそれぞれの設定はKZメンバーを使う予定。

ちなみに、主人公のウサギは私をモデルにしたんだ。

よし、がんばるぞ！

んーっと、若武ならこう言いそう。

「二次元の世界で俺は王様だ！絶対だ！」

私は、若武がうさぎの姿でいばっているところを想像して吹き出してしまった。

だって、おかしい…

何というか、個性が溢れ出ていて、ね。

けど、かわいいかも！若武って、どこに行っても変わんないからなあ。

ああ、なんか悲しい系のテーマにしたはずなのに…………。

そう思いながら一人でにやけてしまった。

「お前、何１人で笑ってんだよ。」

わっ、悠飛。

私は、慌ててパソコンの蓋を閉じた。

「お前さぁ、何隠してんだよ。前にも言った気がするけど、小説って人に見せるものだろ？」

そりゃ、そうなんだけど、自分が作った作品を見られるのって、恥ずかしい…

特にこれは！

「てか、お前の話、おとぎ話みたいな。」

わっ、読んでたんだ…

「大体、うさぎが話すわけないだろ。ま、メルヘンチックでお前らしいけど。

KZの奴らモデルにしてんだろ。俺も出してくれるの？」

からかうなり、肩を揺すって大笑い。

ムッ。

私はあなたみたいな文才はないの。もう。

「別に、うさぎが話したっていいじゃない。小説の中よ。私は、メルヘンチックに書いてるんだから、それでいいの！」

そうよ、人のを見て笑うなんて、最低！

「怒ってるお前もかわいいのな。」

そういうと悠飛は、私に近付いてきた。

「でも俺は、笑ってるお前の方が好きだけどな。」

…。

私は、自分の顔が赤くなってるのが分かった。

「お前の顔、りんごみたいだな。」

あなたのせいでしょ、もうっ！

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