今日もありがとう｡ (ページ9)

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僕たちにできること｡ Fuma ページ9

ストイックに音に合わせ､鏡にうつる自分と向き合いながら丁寧に確認していくのは彼のやり方｡

こうして他のメンバーには言わずにひたむきにやるのも彼のやり方でありプライド｡

だからこそ､俺たちは必要以上に踏み込まないしそれぞれのやり方に口を出したりしない｡

それでも毎回こうして陰ながら見守るのは､やはり心配が勝ってしまうから｡

現に今､彼は息を切らしながらほんの少し気力で最後の1音まで踊りきろうとしているのだ｡

そろそろかとゆっくり静かに扉を開けて近づきあと数十センチの所で音は止み､彼の体はフラッと後ろに傾いた｡

『...っぶねぇ..｡』

『...ふ､ま｡』

そう呼ばれて俺は体を抱き上げた｡

『今日はもう終わり｡着替えて帰ろう｡』

そう言って端の方に移動して降ろしてやった｡

シャワーを浴びて着替えを済ませた姿を見て､俺は上着を羽織わせた｡

『...ありがとう｡』

『今､中島に風邪引かれたら勝利に何て言われるか｡』

そう言うと中島は俺を見た｡

『ん??』

『...風磨｡』

そう呼ばれて俺は手を掴んだ｡

『中島｡』

そう呼んで掴んだ手を俺の胸に当てた｡

『俺の鼓動､分かる??』

『...ん｡』

『じゃあ｡』

そう言って次は中島の胸に当てさせた｡

『自分の鼓動は??』

『...分かる｡』

そう言われて俺は一旦手を下げさせ､その手をぎゅっと握った｡

『悔しいか??』

『...ん｡』

『もどかしい??』

『...あぁ｡』

そう言われて俺は安心を与えられるようにできるだけ優しく微笑んだ｡