すっぴん。 ym&in

ぱらぱら。 ページ8

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理科の授業が終了後、伊野尾先生と保健室へ向かった。

行ってみると、保健室の先生は不在で代わりに先生が手当てをしてくれることになった。

手探りで消毒液や絆創膏などを探す先生の姿を見て申し訳なく思い、立ち上がると

それに先生が気づいたのかパッとこちらを振り返り、少し困ったような笑顔を浮かべて俺の肩を持ち少々強引にベッドに座らせた。

「...山田くんは今怪我してるんだよね」

「...はい。」

「...山田くんは今怪我人なんだよね」

「...そうです。」

先生はしゃがんでいるため、少し上目遣いになっている。目に毒だ。さっきから心臓の高鳴りが治らない。
極め付きには少し頬を膨らませながら話すもんだから先生は怒っているつもりなのだろうが可愛いが勝ってしまう。


「...先生の手伝いをしてくれるのは確かに嬉しいし、ありがたいよ？...でも、自分の体を第一に考えなきゃ。...そうでしょ？」


怒りながらも優しく語りかける先生は、やっぱりとても生徒のことをよく考えていると思う。


数週間前には考えもしなかっただろう。

たった一人の、しかも先生によって、

...こんなにも心が動かされるなんて。


「...はい。すみませんでした」

そう答えると、

「分かればいいよ。山田くんってば本当に優しいんだから...」

と、微笑みながら優しく頭をわしゃわしゃとしてきた。

勿論のこと、それはそれは嬉しかったけど子供扱いされてるみたいで何かやだ。

そりゃあ先生にとっちゃ、生徒なんて可愛い子供なんだろうけど。

思わず仕返しに先生の頭をわしゃわしゃしてやろうか、と手を伸ばしたが冷静に考えなおしてやめた。

行動を起こした所で「冗談ですって」なんかで通じる所まで仲が深まっていない。

先走るな、山田。
思いつきで行動するな、山田。


。


それからというもの、消毒液と絆創膏をあちこち探している先生、とその姿をベッドに腰掛け凝視している俺。という第三者しか見れば異様な光景が過ぎた後、やっとのことお目当てを発見。

たまに机に足をぶつけたり、開いた戸棚の角に頭をぶつけたりなど痛々しいハプニングがあったが、
その度に「だ、大丈夫だからね！」と強がる先生は何だか可愛くて。
ぎゅっと心臓が締め付けられた。

慣れないながらも消毒と絆創膏を貼ってくれた先生に感謝を伝えると、「良いってことよ！」と先生。

何だか急に愛おしくなって、さっきのお返しとぶつけて痛そうだったからと心の中で言い訳をして、その頭を撫でた。

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