しとしと。 ページ22
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今までスーツ姿しか見たことがなかったけれど、
少しダボっとした服を着た先生は、とても可愛くて。
思わず、抱きしめたくなった。
祭り独特の賑やかさ。
すれ違う人々が非現実的なこの日を楽しんでいた。
気まずい雰囲気なんて消し去ってしまうかのように、俺と先生はいつの間にか太鼓の音、夏の匂いに呑まれた。
橙色だった空は、すっかり暗くなって。
それに比例したように、俺の手にはフランクフルト。先生の手にはかき氷があった。
去年なんか、友達とどんちゃん騒ぎしてた俺だけど先生と同じ位置に立ちたくて、背伸びをしていた。
そろそろつま先が痛くなってきたころ。
先生は、オトナだ。
いつも、俺の先を越していく。
俺のことなんて、ハナから全部分かっているように。
でも、さっきなんてあんまりだ。
かき氷のシロップがブルーハワイなのをいいことに、「ねぇ、見て見て！」なんて言って俺の肩を叩いては青くなった舌を見せてきたのだ。
「先生！」と笑うと、赤い舌を唇から覗かして照れるものだから、俺までこそばゆくなってしまった。
なんだか、ピンと張り詰めていたものが解けて肩の力が抜ける。
宿題終わりそう？とか、夏休みなんか予定あるの？
とか。
そんななんでもない質問に答えては、オウム返しのように先生にも同じような質問をした。
もうちょっとで、花火が打ち上がる時間だ。
穴場スポットに先生を連れて行く。
俺と先生しかいない、この場所。
なんだか、夢みたいだ。
「.....今日はありがとね。俺、すごく楽しい。」
そう、にこやかに笑う先生。
「....俺も楽しいです。」
これでも精一杯笑ったつもり。
唇の端、引きつってたかな？
「....そっか。よかった。」
そう言う横顔は、儚くて、遠くで鳴くセミみたいだななんて思った。
花火が打ち上がるまで、
あと、10秒。
先生の手が俺の手に触れて、
9,
先生の指が俺の指を絡めて、
8,
ぎゅっと、力が強くなって、
7,
俺も同じように、力を入れて、
6,
先生が俺の方を向いて、
5,
熱く、火照った頬、色を秘めた瞳が俺を見つめ、
4,
山田くん、と呼ぶ声がリンと鳴って、
3,
もう片方の手が俺の頬を包み込んで、
2,
ゆっくりと微かに笑みを浮かべ、
1,
唇と唇が触れ合う寸前まで近づき、
0,
花火の音と同時に先生が何かを呟いて、
俺と先生の、唇が触れた。
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konokuro(プロフ) - あひる☆さん» 1を最後まで読んで頂きありがとうございました^ - ^ 2も楽しみにしてくださいな！ (2020年3月15日 21時) (
レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - konokuroさん» 移行に行こう〜〜〜♪わーわー。。どきどきっ。。 (2020年3月15日 14時) (レス) id: 15b8e56e15 (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - あひる☆さん» あひるん！！！コメントありがとうございます^ - ^ そんなこと言っていただけるなんて....！！ こちらも早め早めの投稿を心がけます！^ - ^ (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
konokuro(プロフ) - うさこさん» こんばんは。今回もお待たせいたしました...m(_ _)m そう思っていただけて嬉しいです^ - ^ そうなんです！複雑な感情と天気雨をかけてみました笑 晴れなの？雨なの？どっちなんだい！笑 (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8ceddc39fa (このIDを非表示/違反報告)
あひる☆(プロフ) - 複雑な心情を読ませていただきました〜〜♪はぁぁー・・よい！よいなぁ〜〜。ちねさんのきもちっ！！またまた楽しみにまっとりますぅ〜〜♪ (2020年2月28日 18時) (レス) id: f52dbdb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：konokuro | 作成日時：2019年6月22日 23時
